フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
ここの食べ放題はバイキング形式で、自分で好きなものを好きなだけ取りにいける。お肉以外にもお寿司やお惣菜、サラダやデザートなんかもあって、それでいてリーズナブル。

だから華とも昔来たことがあるし、もっと遥か遠い昔にはお父さんと来たこともあった。

昔からあるお店だけど最近リニューアルして、ちょっとお洒落な感じになってる。

「いただきまーす!」

「いただきます」

お肉をお皿いっぱい取って、目の前の網で焼く。焼けるまでに食べられるお寿司やサラダも取って来て、ホクホク顔の私。

そんな私の正面に座って、三苫さんは優しい顔をした。

「俺焼く係するから、小夏ちゃんはどんどん食べてね」

「はい、食べます!でも三苫さんもですよ?」

「はいはい」

三苫さんにはあんまり大食いってイメージはない。やっぱり食べ放題とか嫌だったかな?って、今さらそんなことを考えても仕方ない。
焼けたお肉を、三苫さんがひょいひょいと私のお皿に乗せていく。

「美味しーっ」

食べ放題にしては、お肉が柔らかくて美味しい。それに三苫さんの焼き方や加減が絶妙で、自分で焼くより美味しいベストなタイミングで食べられてる気がする。

「ホント小夏ちゃんは、なんでも美味しそうに食べるね」

「焼肉なんて久しぶりで。すみません、私ばっかりはしゃいじゃって」

「ううん、俺も楽しいよ」

三苫さんは笑って、

「小夏ちゃん、タレついてる」

そう言いながら紙ナプキンを手にすると、私の口元をチョンチョンと拭った。

「っ」

「ハハ」

ハハじゃない!流石の私でも恥ずかしいから!

こんなところに恋愛フラグは立たないと分かっていても、勝手に顔が熱くなるのは止められなかった。
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