フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
頬に手を当てて熱を覚ましていると、

「相崎さん」

また横から、声をかけられた。

「あ、藤君」

そっか、江南君は藤君と一緒に来てたのか。いつも一緒だし、ホントに仲良しなんだ。

「さっき江南君にも会ったよ」

「聞いたよ、太一から」

いつも通りの懐こい笑顔を浮かべる藤君は、私服でもやっぱりイケメンだ。

「二人で来たの?」

「んーん、四人。前の中学のヤツらと」

「そうなんだ」

「相崎さんは…」

言いながら、藤君は私から三苫さんに視線を移した。

「相崎さんの店でバイトしてるお兄さんと来てるんだっけ?」

ニコッと、三苫さんを見て笑う。

「うん、そうだよ」

「どうも、相崎さんと同じクラスの藤です」

「こんにちは、三苫です」

藤君は三苫さんのお皿と私のお皿を交互に見て、

「凄い、相崎さんのお皿に肉山盛りだ」

って笑った。

「う、煩いな」

恥ずかしくなって、思わず口を尖らせる。

「三苫さん?は、あまり食べないんですね」

「いや、そんなことはないよ?」

「相崎さんのタイプはよく食べる人だからなぁ」

「…」

「ちょっと藤君、突然何言ってんの」

「いや別に?」

さっきとは違う笑顔を浮かべると、藤君は「また月曜ね」って手を上げて去っていった。

「すみません、何度も」

「…うん、大丈夫だよ。小夏ちゃんは男の子の友達多いんだね」

「友達というか、クラスメイトですね」

私と彼らとじゃ、カーストの階層が違う。

「もしかして小夏ちゃんの好きな人だったりして。彼か、最初の彼のどっちか」

「まさか。イケメンは恋愛対象外です」

私の言葉に、三苫さんは噴き出した。

「特にさっきの、藤君だっけ?イケメンだね」

「ですね。私とは違う世界の住人です」

「そっか」

「そうですよ」

三苫さんは嬉しそうに笑ったかと思ったら、それからはもう藤君や江南君のことは口にしなかった。
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