フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
なぜか最近、藤君がやたらと絡んでくる。一番最初のあの変な二択の質問以降、気づけば毎日一回は話してる気がする。

「隅田さんを誘うのは彼氏君に悪いからさ。相崎さんだけ」

「ふぅん?」

華は、意味ありげなニヤケ顔を浮かべてる。

「どこ行くの?」

「一香さん、覚えてる?」

「あ、うん。江南君のお姉さんだよね?」

「そう。俺、一香さんのクレープ屋がオープンした時、なにも渡せてなくてさ。ちょっと遅れたけど、プレゼント探したくて」

「なるほど」

「相崎さんなら一香さんの顔知ってるし、イメージしやすいかなって。一緒に選んでほしいんだ」

「私、センスないよ?ラーメン屋の娘だし」

「それ関係ないって」

藤君は笑ってるけど、私は本気で言ってるのに。

「一人で選ぶより心強いし、お願い」

「自信ないなぁ」

ちょっと渋ってると、教室のドアの方から大きめの声で「諒太郎!」って藤君の名前が呼ばれた。

反射的に私もそっちを向くと、ちょっと派手めの美人がこっちを見てる。

「ごめん呼ばれちゃった」

「行ってらっしゃい」

「じゃ、放課後よろしくね相崎さん」

「え、決定?」

藤君は私に綺麗な笑顔を向けると、そのまま美人の元へと歩いていった。

あの人こっち睨んでない?気のせい?

「藤君、なかなかやるなぁ」

華はニヤニヤしながら、頬杖をついて藤君を見てる。

「ロックオンされてんじゃない?小夏」

「は?ないない」

藤君に似合うのは、正にあんな感じの美人だ。二人で話してる姿も、ホントにお似合いって感じ。

私みたいな平凡ちんちくりんとイケメン藤君の間には、恋愛フラグなんぞ立ちはしない。

あぁ、恋って難しい。
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