フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
いつものこと、みたいな冷たい目付きの華に、私はグイッと顔を寄せる。

「大体、いっつも見せつけてるのは華じゃんか。(ヒト)(バシ)君とのラブラブっぷり、羨まし過ぎて胸焼けしそう」

「おい」

「一ツ橋君優しいし、あんなステキな彼氏居る華がいっつも輝いて見えてさぁ。ちょっとだけ地味だけど」

「さり気なくディスってんなよ小夏」

「ディスってなんかないって。羨ましいって言ってんの。私だって恋愛がしたいんだもん」

白ご飯を全部食べてから、おかずのウィンナーに箸を伸ばした。私は昔から、上手く三角食べできない。

「その無駄な気合いさえなきゃ、普通にできると思うよ。好きな人も彼氏も」

「無駄ってなによ」

「常に獲物を狩るハンターみたいな目付きしてたら、そりゃ気軽に近寄れないでしょ」

「私はただ、チャンスを一つも逃したくないだけよ」

「チャンスとかそういうんじゃなくてさ。こう、あるじゃん?気付いたら好きになってたとか、不意に見せる仕草にドキッとするとか。そんな四六時中戦闘体勢じゃなくたって」

「そんな甘っちょろいこと言ってたから、私未だに彼氏できてないんだよ。もっとどん欲にいかないとね」

「そもそものスタートが違ってることに、いい加減気付いてくれないかな」

今の私には、華の言葉も耳に入らない。

この作戦で、今年こそ恋を見つけて彼氏ゲットしてやる。

「いただきまーす」

「あ、残しといたハンバーグ!」

高々とガッツポーズして宣誓してたら、一個しか入ってないハンバーグを華に取られた。
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