フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
「はい、これ」

「サンキュ」

「今度からもっと早く教えてね?」

「うん」

颯君は頷いて、陽子さんから封筒を受け取った。

「颯君、部活頑張ってるんだね。凄い」

私の言葉に、颯君はチラッとこっちを見る。だけどそれからすぐ、ふいっと逸らされた。

「すぐ戻るんでしょ?」

「うん」

「帰り遅いの?」

「いや、これ渡したら終わり」

「今日小夏ちゃんと外食しようと思ってるんだけど、颯も来れる?」

颯君は、またチラッと私を見た。

「…行く」

もしかして私のこと嫌なのかとも思ったけど、行くって言ってくれたってことはそんなに嫌じゃないのかな。

目が合ってニコッと笑えば、速攻で逸らされてしまった。

「颯は愛想ないなぁ。ごめんね小夏ちゃん」

「い、いや陽子さんそんな」

「俺、一回戻るから」

「終わったら連絡ちょうだいね」

「うん」

「じゃあ颯君、また後でね?」

「…うす」

最後まで私の目を見ないまま小さく会釈すると、颯君は足早に行ってしまった。

「陽子さん…私颯君に嫌われてる?」

「照れてるだけよ、あの子女の子に慣れてないから。小夏ちゃん可愛くていい子だし」

「え、私可愛くていい子?」

「うん」

「そう言ってくれるの陽子さんだけだよぉ」

将来のお母さんに甘えながら、さっきの颯君の態度を思い返す。

女子が苦手で照れ屋とか、颯君可愛いな。
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