フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
その後颯君と合流して、私達は回転寿司さんに行った。私も女子高生とは思えないくらいの枚数を食べたけど、颯君はその三倍は食べてた気がする。

「おいしかったぁ!ご馳走さまでした」

「小夏ちゃんはホントになんでもおいしそうに食べるね」

「まだ口の中においしい余韻が残ってる」

「フフッ、なにそれ」

「…あの」

さっきまで無心でお寿司を食べてた颯君が、お店から出て初めて私に話しかけてくれる。

「…なにが」

「うん?」

「好き…っすか」

もごもご言ってて、よく聞き取れない。私は彼に少し距離を詰めた。

「え…っと」

「うん」

「ネ、ネタ」

「ネタ?」

「好きな、寿司ネタ…とか」

もう外は暗いから颯君の表情はよく分からない。だけど隠すように口元に手を当ててるその仕草は、照れてるように見えて。

男の子に言うのは失礼かもしれないけど、やっぱり颯君って凄く可愛い。弟属性バンザイ。

「ちょっと颯、どうして今さらそんなこと聞くのよ」

「いや、なんとなく」

陽子さんは呆れたように溜息を吐いた。

「好きなネタかぁ。サーモンかな。あ、でもイクラも好き。あとは玉子とか、ちょっと邪道だけどハンバーグもツナマヨコーンの軍艦も好きだよ」

「なんか子供みたいっすね」

「え?」

「あ…」

しまった、みたいな顔するからおもわず笑ってしまった。

颯君とはまだそんなに会話したわけじゃないけど、話してると無性に頭を撫でまわしたい衝動に駆られる。

私よりずっと背も高くてしっかりした男の子なのに、不思議だ。

「というか颯君、敬語じゃなくていいよ。私達同い年なんだから」

「…っす。あ、いや…う、うん。はい」

モジモジしてる姿はやっぱり可愛くて、小動物を見てるみたいでキュンキュンする。

これから一緒に住むことになるけど、颯君とならきっと上手くやれそうな気がする。
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