フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
「ほら行くぞ」

グッと手首を掴まれて、福間さんの方に引っ張られる。

「わっ」

結構な勢いで後ろに引かれたから、胸に飛び込むようなかたちになってしまった。

「嘘、君の彼氏?」

「い、いや…」

「俺らじゃなくてソイツの方がカツアゲしそうじゃない?」

「もしかして弱みとか握られてんの?」

あれ?さっきまでからかわれてたのに今はなんか心配されてる…

「はあ?」

途端にドスの効いた声が後ろから聞こえたので、私は咄嗟に不自然な位の笑顔を作った。

「こ、この人見た目はこんなだけど凄い大食いで!」

「は?」

「目付き悪いし、怖いし、言葉遣い悪いし」

「え、え?やっぱカツアゲ?イジメ?」

「で、でも実はめちゃくちゃいい人なんです!今私が絡まれてると思って助けてくれてるんです!ね?いい人でしょ?」

「あ、あぁ。だな」

ペラペラと意味不明なことを言い出す私に、お兄さん達が若干引いてる。

「私に絡んでもなんの得もないですよ!夏だからって夜遅くまで外に居たら風邪引いちゃうから、ちゃんと家帰って早く寝てくださいね!」

「お、おう。ありがとな」

「いえ!では失礼します!」

ペコッと頭を下げると、私は福間さんの手を引いて足早にコンビニから離れたのだった。




「ふぅ、怖かった」

「冗談だろ、嘘言うな」

福間さんは、若干ブスッとしてる様子。

「俺ぬち出る幕なかったじゃん」

「そんなことないですよ。一人じゃ怖くて何も言えなかったし。福間さんが声かけてくれたから、勇気出せました。ありがとうございます」

「マジ?」

「大マジです。嬉しかったです。ありがとうございます、福間さん」

私が笑顔になると、福間さんはちょっとだけ恥ずかしそうにはにかんでみせた。
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