フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
送ると言ってくれた福間さんの好意に、私は素直に甘えることにした。さっきのお兄さん達より見た目的には福間さんの方がよっぽど誰かに絡んでいきそうだけど、それは言わないでおく。

「あ」

「あ?」

「またそのカバン持ってる」

初めて会ったあの日、私がつまずいたあのカバンだ。福間さんは今日も、その黒くて大きなボストンバッグっぽいものを肩からかけている。

「あぁこれ。気になる?」

「いえ別に」

「あん?」

「めっちゃ気になる」

「だろ?見てみ?」

福間さんは弾んだ声で言いながら、立ち止まってカバンのチャックを開けた。私も立ち止まって中を覗き込む。

街灯に照らされた、不自然に整った顔立ちの無機質な目と視線がかち合った。

な、生首…っ




「ぎゃあっ!」

思わず叫んで後退りした私に、福間さんはおかしそうに笑う。

「絶対そんな反応すると思った」

「も、もう!ビックリしたじゃないですか!」

ケタケタ笑う彼の肩をバシッと叩く。

「小夏ウケる。ギャア!だって」

「もう、なんなんですかそれ」

「これ?教材だよ学校の」

「教材?」

「言ったろ?美容の専門通ってるって。美容師目指してんの、俺」

「美容師?あ…」

あの生首の正体がなんとなく分かった。
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