フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
すでに愛着が湧いてしまったマネキンをジーッと見つめた後、横に立ってる福間さんに笑顔を向ける。

「福間さんのおかげで、なんだか世界が広がった気がします。できないと思ってたことができるようになるって、嬉しいですね」

ここにいる人達にとっては、こんなアレンジなんてどうってことないかもしれない。

だけど、最近の自分にモヤモヤしてた私にとっては、大きい一歩って感じがした。

「ありがとう、福間さん」

ニコニコしながらお礼を言うと、福間さんは一瞬目を丸くして、それからすぐ破顔した。

「可愛いな、お前」

頭を優しくポンポンされて、ピシッと固まる。ちょっと忘れてたけど、私福間さんに告白されてるんだった。

「おいゼン、お前なにイチャついてんだよイベ中にさぁ」

急に後ろから男の人が現れる。福間さんにもたれかかるようにして、彼の首に腕を回した。

「お前重いんだよどけって」

「あんまりだらしねぇ顔してっからつい」

「んな顔してねっつの」

福間さんは嫌そうな顔してるけど、接し方でこの男の人と仲がいいんだなって分かる。

ペコリとお辞儀すると、その人の視線が福間さんから私に向けられた。

「どーも!俺三好(ミヨシ)って言うの!気軽にヨッシーって呼んでね」

「は、はぁ」

最初に出会った時の福間さんみたい。赤い髪の派手な見た目なのにやたらと人懐っこくて、初対面とは思えない感じでグイグイくる。

「小夏、コイツ気にしなくていいから」

「でもさゼン、俺も挨拶しとかねぇと。だってあれだろ?この子って昨日お前が言ってた…」

そこまで言って、三好さんは福間さんに口を塞がれたから、それ以上話せなくなった。

「話進まねぇからどっか行けよ」

「へいへい、俺先に昼行くわ」

「おーいけいけさっさと行け」

「ゼン、頑張って!」

胸の前でハート作りながら教室出てったけど、一体なんだったんだ。
< 67 / 104 >

この作品をシェア

pagetop