フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
「アンタなにやってんのよ」

お昼休み、中庭のベンチに座り華と二人でお弁当を食べる。案の定、お説教タイムが始まる。

ただでさえまだまだ暑いのに、華から凄い目力で睨まれると余計に体温が上がるから勘弁してほしい。

「あんな露骨に態度に出したら、藤君に失礼でしょ?ましてや小夏はフッた側だよ?藤君は普通に挨拶してくれてるのにさぁ」

「そ、それは分かってるけど…」

お弁当の中のミニトマトを箸で転がしながら、私は口を尖らせた。言われなくたって、頭ではちゃんと分かってるんだってば。

「じゃあなんで避けてんのよ」

「分かんないけど藤君の顔見たらこう、脳内からなにかがブワッと出てくるの」

「意味不明なんだけど」

「私だって意味分かんないよ」

自分でも自分が理解できない。

華はしばらく視線を空にさまよわせた後、パッと私の顔を見ながら言った。

「小夏、もしかして藤君のこと好きになっちゃったんじゃないの?」

ポロッ

せっかく摘んだミニトマトが、コロコロと地面に転がった。

「え…っ、そっ、そんなの…いや、だって、あの…っ」

金魚みたいに、口をパクパクさせることしかできない。さっきより五度くらい気温が上がった気がする。

「その反応、やっぱそうじゃん!小夏、藤君のこと好きなんじゃん!」

「ちょっ、声デカイって華…っ」

自分でもビックリするくらい動揺してる。汗止まんないし、頭沸騰しそうだし、心臓バクバクだし。

「へぇ〜、そっかぁ〜、ふぅ〜ん」

華、めちゃくちゃニヤニヤしてる。

「ち、違っ、別に、そ、そういうのじゃなくて…っ」

「だってめちゃくちゃ動揺してんじゃん」

「それは、その…」

「なんで意地張るのよ。好きになれたなら、それはいいことじゃない」

あっけらかんとそう言いながら、華はひょいと卵焼きを口に放り込む。

「だけど、これがホントに恋なのか…まだよく分かんなくて…」

「幼稚園児みたいなこと言ってんなよ」

「ぐぅ…っ」

確かに、私の恋愛スキルはそんなものかもしれない。自覚するのが遅過ぎて、自分でも軽く引いてる。
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