フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
♢♢♢

あれから藤君とちゃんと話せなかった。自分が情けなくて、悩んでも悩んでも解決策なんか出てこない。

恋がしてみたいっていう私の願いは叶ったけど、その先を考えたことなんてなかった。

あんなに憧れてたのに、どうしたらいいのか今は分かんない。

夜寝つけなかったせいもあって、昼頃まで部屋でダラダラと過ごした。

だけど一日中これはさすがにマズいと、気分転換にコンビニに行くことにした。

「…こういうの、困る」

コンビニに行く途中の曲がり角で颯君の声が聞こえて、足をサッと引っ込める。

顔だけ出して覗くと、颯君と女の子が向かい合って立ってた。

「迷惑だって分かってたけど、どうしても伝えたくて」

「…ごめん」

「ううん、いいんだ。私の方こそ、こんなところまで押しかけてごめんね。ちゃんと振ってくれてありがとう」

なんていじらしいんだろう…関係ない私が応援したくなるくらい、いい子だった。

「じゃあ、また学校で」

…まずい、こっちに来る!

そう思ったた時にはもう遅かった。その子と私は見事に鉢合わせして、当然颯君にも気づかれた。

「ご、ごめん颯君。覗くつもりはなかったんだけど…」

女の子が走り去ったあとの、この気まずさ。この間颯君にあんなこと言われてから、私達の間には微妙な空気が漂ってる。

「は、颯君やっぱりモテるね〜!そりゃそうか、背高いしカッコいいし…」

わざと明るい声を出してみても、颯君は無反応。私の乾いた笑い声だけが、シンとした住宅街に響いた。
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