フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
どうしよう、こんなの恥ずかしすぎる。もっとちゃんとした場所で、セリフもちゃんと考えて、覚悟決めてから告白するつもりだったのに。

こんな勢いに任せた告白なんか、するつもりじゃなかった。

「…そっか。相崎さん、俺のこと好きなんだ」

藤君はしみじみした声でそう言って、手で口元を押さえる。

「ヤバ、今頃恥ずかしくなってきた」

たぶん私と同じくらい顔を赤くしてる藤君は、照れたように視線を逸らす。

「どうしよう、めちゃくちゃ嬉しい」

「…っ」

そんな風に言われたら、もうシチュエーションがどうとかそんなこと全部どうでもよくなる。

「私、高校生にもなって恋愛がどういうものなのか、ちゃんと分かってなかったんだ。でも、気づいたら一日中藤君のこと考えてて、会えないのが寂しくて、もし私じゃないだれかと藤君が…って考えたら、心臓が潰れそうだった」

藤君はもう、私のことなんか好きじゃないと思ってた。それでも気持ちだけは伝えたいって、そう決心したのに。

まさか藤君の方から告白してくれるなんて思ってもみなかったから、まだちょっと頭が追いついてない。

「俺も、振られたらもう相崎さんと話せなくなるのが怖くて、ちゃんと告白できなかったのずっと後悔してた」
「そんな風に思ってくれてたんだ…」

彼の気持ちを聞いた今、いつもよりずっと藤君がキラキラ輝いて見える。

恋ってホントに、不思議だ。

目には見えないものなのに、ちゃんと分かる。

ああ、私は藤君のことが大好きなんだって。

「俺と、付き合ってくれますか?」

藤君は照れたように、だけど私の目を見つめて言ってくれた。

「はい、お願いします」

答えた後恥ずかしすぎて思わず笑っちゃったけど、藤君も嬉しそうにクシャッと目を細めた。
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