ホワイト・ターン・オレンジ〜夕日色の白い部屋で幼なじみと甘いひととき〜
 頭の中を疑問符でいっぱいにして首をひねる。


「それとこの数字。四月十日……じゃないよな? 今九月だし」
「うん……日づではないと思うけど……」

 こっちも首をひねるしかない。

 新も真剣に悩んで「うーん」と唸っている。


 新はみんなに優しいけれど、こんな突拍子もないことを信じてくれた上に真剣に考えてくれるなんて……。

 嬉しくて、ちょっと涙が出てきそうだった。


「まあ、考えても分からないことはいったん置いとくか」

 そう結論を出した新は自分の鞄を持って立ち上がる。

「もしかしたら次は大丈夫かも知れないし、もしまたループしたら試しに保健室入らないで帰ってみろよ」

「え? でもそれだと新を置いてくってことになるよね?」

 いつものように、当然のように差し出された手を取りながらそんなこと出来ないと告げる。
 でも新は「構わないよ」と言った。


「スマホは持ってるんだし。先に生徒玄関で待ってるとか連絡くれればいいから」

「そう?……分かった」

 新が良いというなら試してみても良いかも知れない。

 その場合は新に今の記憶はないだろうから、説明に困ることになりそうだけれど……。

 でもこのままループし続けるよりはずっといい。


「ま、繰り返さないのが一番だけどな」
「そうだね」

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