ホワイト・ターン・オレンジ〜夕日色の白い部屋で幼なじみと甘いひととき〜
録音
 カーテンを開けると、驚いた表情の新と目が合う。

 わたしはそのままの勢いで話しかけた。

「聞いて新! 数字がね、増えてたの! もしかしたらこれってループの回数で、十ってのは母数なんじゃないかな⁉」

「は? ほのか? いきなり何言ってんの?」

 本気で戸惑っている様子の新を見て、わたしははっと気づく。


 そうだ。
 新にはループの記憶はないんだった。


「ごめん、まず説明するね」

 軽く深呼吸して落ち着いてから、わたしはまた初めから話す。

 既に一度話したことを説明するのは正直骨が折れた。

 全部伝えたつもりでも、伝えそびれた部分があったのか疑問を投げ掛けられるし。

 結果、さっきよりも時間がかかってしまった。


「えーっと……とりあえずループしてるってのは分かった」

「信じてくれる?」

「まあ、信じられない気持ちもないわけじゃないけど、嘘を吐くにしては細かすぎるし。それに……」

「それに?」

「あ、いや」

 続きは教えてくれなかったけれど、やっぱり新は信じてくれるんだなと思うとそれだけで安心する。

 この異常な状態も、新が信じて側にいるだけで大丈夫だと不思議と思えた。

 でも、説明の仕方はちょっと考えないとないかも知れない。
 それくらい今回は苦労した。


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