ホワイト・ターン・オレンジ〜夕日色の白い部屋で幼なじみと甘いひととき〜
 あの甘い状態が続いたら、わたしどうなっちゃうのか分からないから……。

 ホッとしてもまだドキドキしている心臓を抑えるように胸に手を当てていると、ポン、と通知の音が鳴った。


 解錠の通知。

 心なしかさっきより早い気がするけれど……。

 もしかして解錠の時間はまちまちなのかもしれない。


 とにかく、解錠されたのなら次へ行かないと。

「あ……鍵、開いたみたいだから行くね」

 あまりにもドキドキしすぎて、わたしは逃げるように立ち上がった。

「あ、待てよ。追加の録音するから」

「え? また?」


 更に録音する必要があるの?

 疑問だったけれど、新が必要だと言うなら断る理由はない。

 この録音はわたしの説明が楽になるようにしてくれているもののはずだから。


 聞かないように離れて待っていたわたしに新は「あ、絶対にお前は聞くなよ?」と念を押す。

「だから聞かないって……」

 今の新にとっては初めて口にした言葉だろうけれど、あまりにも毎回言われるからついそんな風に返してしまった。


「じゃあ、行くね」
「……ああ」

 前回と同じようにさっさと次へ行こうとすると、名残惜し気に新の手が伸ばされて指の先が頬をかすめる。

 何か言いたそうな眼差しに動けなくなったけれど、新は結局何も言わずにわたしから一歩離れた。

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