ホワイト・ターン・オレンジ〜夕日色の白い部屋で幼なじみと甘いひととき〜
 その行動が『行けよ』と言ってるように感じて、わたしは振り切るように保健室を出る。


 霞に視界を覆われながら、駆け足になった鼓動が収まるようにと深呼吸する。

 落ち着かなきゃ。

 だって、次の新はさっき迫って来た新じゃないんだから。


 そう思うと寂しさと痛みが胸に射し込む。

 それでも、熱くなった体温はなかなか冷めてはくれなかった。


 ……そして八回目。

 わたしは新の隣に座らずに立ったまま彼が音声を聞き終わるのを待っていた。

 聞き終えた新は前回と同じく何故か不機嫌で、とりあえず、と保健室のドアが閉まっていることを確認しに行く。

 戻って来てベッドに座り込み、「はぁ……」とため息をついた。


「信じられないけど、信じるしかないって状況だな」

「わたしの言葉だけだと信じられない?」

 試すような言い方になっちゃったけれど、今まではちゃんと信じてくれたからつい聞いてみた。

 新はわたしを見上げて少し考えるように黙って、「いや」と言葉を紡いだ。


「ほのかの言う事だから信じるよ。ほのかが嘘ついてたら分かるし」

「ええ? わたしの噓ってそんなバレバレなの?……でも、うん。ありがとう」

 なんだかんだわたしのことをよく見てくれてるんだな。

 そんな温かい思いと、信じてくれるという言葉に安心と喜びが胸に広がる。
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