ホワイト・ターン・オレンジ〜夕日色の白い部屋で幼なじみと甘いひととき〜
ホッとして笑顔でお礼を言うと、新の表情からも不機嫌さが無くなった。
「いや、別に……ってかさ、なんで立ってんの? いつもみたいにここ座って待てば?」
と、自分の隣をポンポンと叩く新にギクリとする。
新は覚えていなくても、わたしにとってはついさっきの出来事。
ベッドの上で迫られたことは、記憶に新しすぎるほど鮮明だ。
「いや、その。解錠したらすぐ出て行けるようにした方がいいかなと思って……」
視線を泳がせながら発した言葉は我ながら嘘っぽい。
明らかに何かを誤魔化してるっていうのがバレバレだろう。
「ふーん……」
その証拠に新はジトーッとした目でわたしを見ていた。
そのまま誤魔化されてくれないかな? と願っていると、新は「ん?」と何かに気づいた。
「なあ、ほのか。足、血出てないか?」
「え? あ、本当だ」
さっきベッドから落ちたときにすりむいちゃったのかな?
血は出てるけど大きな傷ってわけじゃないから気づかなかった。
「消毒と、絆創膏貼っとくか。そっちの椅子座って待ってろよ」
言いながら立ち上がった新は、熟知しているのか躊躇いもなく戸棚の引き出しを開けていた。
その様子を見ながら、わたしは言われた通り普段保健室の先生が処置してくれるときの椅子に座る。