ホワイト・ターン・オレンジ〜夕日色の白い部屋で幼なじみと甘いひととき〜
 消毒液と絆創膏を持ってきた新はわたしの前にしゃがんで「足見せてみろ」と普通に口にする。


「え? いや、自分で出来るから」
「いいから、やってもらった方が楽だろ?」

 有無を言わせない様子の新に戸惑う。

 確かに新はたまに強引なところがあるけれど、それはいつもわたしの為だったりと理由があった。

 今回はそこまで強引になるほどのことじゃないんじゃないかな? と疑問に思う。


 それでも新の親切を断るほどのことでもないから黙って足を見せる。

 右の、足首よりも少し上の辺り。脛に近いところが少しだけ擦り傷になっていた。

「しみるか?」
「ううん、大丈夫」

 普通に処置をしてくれて、絆創膏を貼ってくれた新に「ありがとう」とお礼を言う。

 でも新はしゃがんだまま動かなくて、どうしたんだろうと不思議に思った。


「新?」

 呼びかけると、絆創膏を貼ってくれた右足に新の手が触れる。
 そのまま持ち上げられて、新の顔が近づく。

 何を? と思ったときには、絆創膏の上に新の唇が触れた。

「っ⁉」

 あまりのことに一瞬心臓が止まりそうになる。

 言葉が出ないわたしの顔を見上げて、新はちょっと意地悪な笑みを浮かべた。


「早く治る、おまじない」
「お、おまじない?」
「そ」

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