ホワイト・ターン・オレンジ〜夕日色の白い部屋で幼なじみと甘いひととき〜
 受け取って、沈黙が落ちる。


 名残惜しい。

 どうして押し倒して、覆いかぶさって、ずっとそのままでいたのか聞きたい。
 でも、そうして答えてくれた言葉も次の新は覚えていないのかと思うと何故か聞けなかった。


「じゃあ、行くね」

 ずっとこのままでいるわけにもいかない。

 ループは次で終わりなんだ。

 終わらせなくちゃ、始まることも出来ない。

 だから振り切るように踵を返そうとすると、そこで初めて「待った」と声を掛けられた。


「伝えておきたいことがあるんだ」

「え?」

「ほのかがループしてる理由、多分俺は知ってる」

「……え?」

 息を呑んだ。


 わたしがループしている理由をどうして新が知っているっていうの?

 わたしが新と一緒に居たいって、この今がもっと続けばいいのにって思っていたこと、それに気づいてるってことなの?


 驚き、冷や汗のようなものを感じたけれど、新の話は意外過ぎるものだった。

「俺さ、さっき夢を見たんだ。五年前亡くなった祖父さんの夢。こんなふうによく倒れて、自信喪失してる俺の手助けをしてくれるって言われた」

「新の、お祖父さん?」

 どうして突然夢の話になるんだろうと不思議に思いながらも聞き返す。


 新のお祖父さんならわたしも何度か会ったことがある。

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