ホワイト・ターン・オレンジ〜夕日色の白い部屋で幼なじみと甘いひととき〜
 呟くようにひと言返した新はそのまま黙り込む。

 その顔には余裕がない感じで、イラついている様にも見えた。

 全身で不機嫌を表している様に見えて、流石に「どうしたの?」と聞かずにはいられなかった。


「新? なんか……怒ってる?」

「……ほのか、さ。俺の録音音声、聞いた?」

 新はわたしの質問には答えず、逆に問いかけてくる。

「え? ううん、聞いてないよ? 聞くなって毎回のように言われてたし……」

 戸惑いながらも答えると、またムスッとした顔で「聞いてみろよ」と告げられる。


「いいの?」
「……」

 確認すると無言で促されたから、わたしはイヤホンをつけない状態で音声をはじめから再生した。


『ほのかの話は事実だ』

 そんな言葉から始まった音声は、わたしのタイムループが本当であること。アプリのカウンターのことや、ドアの鍵が開かないことが語られている。

 そして最後に。

『ほのかのタイムループは多分俺のせいだ。覚悟決めて男見せろ! 俺!』

 新が、新自身に向けたメッセージ。


 あ、そうか。
 お祖父さんの夢を見ていたから、最初からそう思って信じてくれていたんだ。

 軽く驚きつつも納得していると、自動再生でそのまま次の音声も再生される。


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