ホワイト・ターン・オレンジ〜夕日色の白い部屋で幼なじみと甘いひととき〜
「仕方ないよ、ストレスの原因もはっきりしないんじゃあ対処しようがないし。それに鉄分意識して取ったり他に出来ることはしてるんでしょう?」

 早速頭を抱えるようにして落ち込み始めた新を励ます。

 広い背中をポンポンと軽く叩くと、そのままの体勢で顔だけをわたしに向けた。

 そのまま無言でじっと見つめられて、ドキッとする。


「な、なに?」

「……いや。ちょっとストレスの原因考えてた」

「え? 原因分かったの?」

「……さぁな」

 原因は分からないとずっと言っていたから、何か気づいたのかなと驚いたけれど何だか誤魔化された気がする。


「よし、もう大丈夫だろ」

 そう声を上げた新は先に立ち上がってわたしに手を差し出した。

「ほら、帰ろうぜ」
「うん」

 差し出された手を掴むと、力強い腕に引かれてわたしも立ち上がる。

 よく倒れるから弱そうに見られる新だけど、実は結構鍛えていて強いんだ。

 そんな男らしい部分も好きで……ドキドキしすぎてちょっと困る。


 新は気づかないんだろうな。

 わたしがこの二人きりのひと時を実は楽しみにしているってこと。

 もっと、長い時間一緒に居られればいいなって思ってること。


 カッコイイ新は黙っていてもクラスの人気者だ。
 男女関係なく、いつでも周りに誰かがいる。

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