ホワイト・ターン・オレンジ〜夕日色の白い部屋で幼なじみと甘いひととき〜

 しばらくぎゅうっと強く抱いていた腕が少し緩められると、耳元でまたちょっと不機嫌に戻った声が聞こえた。

「ほのかはもう、俺の彼女だよな?」
「う、うん」

 なんで不機嫌そうな声なんだろうと疑問に思いつつ答え。彼女という言葉にじわりと胸の内側に喜びが広がる。

 でもそれもすぐに甘い熱に取って代わられることになった。


「……じゃあ、もう我慢しなくていいよな?」
「え?」

 聞き返すと同時に、わたしの視界は反転する。

 さっきまで新が寝ていたベッドに、わたしが横になった。

 元々のシーツの香りと、新の香りが混ざっているベッド。
 
 前回と同じ様に押し倒されて……でも、今回はすぐに覆いかぶさってはこない新。

 その手は、わたしの右足に触れていた。


「あの、新?」

 ぞわぞわして、絆創膏の上からキスされたときのことを思い出す。


「ほのか……前の俺がしたこと、出来なかったこと……全部、今の俺がやりたい」

「え?」

「……ここか」

 絆創膏が貼ってある部分を撫でると、新は顔を寄せ唇で触れた。

「っ!」

 まるで前の新にキスされたものを上書きするかのような口づけに、一瞬呼吸が止まる。


 ゆっくり顔を離して、わたしの顔を見て僅かに笑った新はさらに問いかけてくる。

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