ホワイト・ターン・オレンジ〜夕日色の白い部屋で幼なじみと甘いひととき〜
 でも、わたしには前の新を一つずつ拾っていっている様にも感じられた。

 抱きしめてくれた新。
 絆創膏の上にキスをした新。
 押し倒してきた新。

 同じ行動をすることで、前の新を拾っていって今の新と一つになっていってるような……。


 気のせいだろうって、自分でも思う。

 でも、ループで見たすべての新が、今の新と一つになっていく気がして……。

 何だか、泣きたいくらい嬉しくなった。


「新……」

 嬉しくて、愛しくて、わたしも新を求めて彼の背に手を回す。

「大好き」

 思いのまま、言葉にした。


「っ! ほのかっ!」

 余裕のない声でわたしを呼んだ新は、潰してしまうんじゃないかと思うくらい強い力で抱きしめてくる。

 苦しいけれど、その苦しさも何故か嬉しくて……。


 腕が緩み、新の顔が上がる。

 熱っぽいその目に、わたしの顔が映った。

 絡んだ視線に誘われるように。引き寄せられるように。

 わたしたちはキスをした……。
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