ホワイト・ターン・オレンジ〜夕日色の白い部屋で幼なじみと甘いひととき〜
タイムループ
「……え? 新?」

 こんな少しの間でいなくなるなんておかしい。

 生徒玄関に行くために曲がる角は結構先の方にあるのに。


 そして何よりおかしいのは、わたしの手にある二つの鞄。

 一つはもちろんわたしのもので、もう一つは新のものだ。

 スマホのロック画面で時間を確認すると、わたしが保健室に来たときの時刻。

 おかしいけれど、何もかもがわたしが保健室に入る前の状態と同じで……。


「……白昼夢でも見てた?」

 おかしいと思いつつ、それ以外考えられなくて呟く。

 とにかくもう一度保健室に入ってみれば分かるはず。

 中に新がいたなら、本当に白昼夢でも見ていたってことなんだろうから。


 ドアを開けて、一直線にカーテンの閉められたベッドへと向かう。

 早く確認したかったこともあっていつもより勢いよくカーテンを開けた。

「……新」

 ベッドの上には、さっき見たのと同じように新が横になっていた。


 わたしの呼びかけに目を開けた新と、さっきと同じように行動する。

 やっぱり白昼夢でも見ていただけだったんだ。

 きっとこの時間が長く続けばいいなんて思ったから、そんな夢を見ちゃったんだね。


 ホッとして、今度こそ帰ろうとまた境界線を越える。

 するとまた目の前が霞がかって……。


「え?」

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