ホワイト・ターン・オレンジ〜夕日色の白い部屋で幼なじみと甘いひととき〜
 目の前から新の背中が消えて、わたしの手には鞄が二つ。

 また、同じになった。


「……うそ……」

 信じたくなくて、認めたくなくて呟く。

 けれど、スマホに表示されている時間はやっぱりわたしが保健室に入る前の時刻で……。


 まさか、と思いながらわたしはまた保健室に入る。

 まさかまさかと心の中で思いながら、また同じことを繰り返して……。

 そして、振り出しに戻った。


「……これは、認めるしかないのかな?」

 タイムループ。

 創作物でしか見たことが無いような文字が頭の中に浮かぶ。


 でもどうして突然こんなことになるの?
 いつもと変わりなかったのに。

 ただちょっと、新と二人きりの時間をもっと長くしたいと思ったくらいで……。


「まさか、それで?」

 そんな、ちょっと心の中で思っただけのことでこんな非現実的なことが起こるなんてありえない。

 とは思うけれど、それ以外に思い当たることもなくて……。


「どうしよう……」

 途方に暮れながらもそのまま突っ立っているわけにもいかず、わたしは保健室に入る。

 また同じことを繰り返して、今度こそを期待して廊下に出た。

 でも結果は同じ。

 わたしは一人で自分と新の鞄を持ち保健室のドアの前に立っていた。


「……」

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