可憐な花は黒魔導士に二度恋をする
 
「私が猫に変身してやるから、こっちに憑くというのはどうだ、シャドウ」
 
 ハインツ先生がパチンと指を鳴らすと、机の上に黒猫が現れた。
 艶やかな黒い毛並みに深紫の瞳、しなやかな体躯と長い尻尾。

 美しい!
 なんて品のある猫なの!

 シャドウまで目をハートにして色めき立っている。
 そしてライトは、突如として現れたオス猫に縄張りを荒らされたと勘違いしたのか、背中の毛を逆立てて威嚇し始めた。

「先生、シャドウは女の子なので、オス猫では話になりません」

「そうか、残念だ」
 ポン!と音がしてハインツ先生が元の姿に戻ると、ライトは驚いて自分の寝床に逃げて行ってしまった。

 まったくもう、混乱させないでください。
 シャドウ、浮気はダメよ!

 それにしても、あんなに綺麗な黒猫なんてずるいわ。
 どうしてわたしはブサ猫なのよおぉぉぉ。


 
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