可憐な花は黒魔導士に二度恋をする
「それで、婚約者さんには会えたんですか?」
「ああ、会えた。手作りのクッキーをもらった」
ハインツが頬をほんのり染めながらローブの内側からクッキーの包みを取り出す。
「うわー、いいなあ。みなさん聞いてくださいよう。ハインツ先輩ったら植え込みの陰から僕たちを見ている婚約者さんを目ざとく見つけて『可愛すぎる』ってにやけてフニャフニャになって訓練にならなかったんですよ?どんだけデレデレなんですか。そのクッキー、僕ももらう権利ありますよね!」
クッキーの包みに伸びていこうとするその腕を、リナリアは渾身の猫パンチで阻止した。
「にゃっ、にゃっ、にゃあぁぁ!」
それはわたしがハインツ様のために焼いたクッキーなの!あなたが食べるなんて百年早くてよっ!
もともとカムフラージュのために作って持ってきていたはずなのに、実はハインツが自分のことを可愛すぎると言ってフニャフニャでデレデレになっていたと知って、リナリアは舞い上がってしまった。
その想いが伝わったか否かは定かではないが、今度はハインツの手が伸びてきて再びリナリアはハインツの腕に収まった。
「フレッド、てめえまた抜け駆けしてハインツに個人指導してもらってたのかよ」
「いいじゃないですかあ!ハインツ先輩にいろいろ教えてもらいたいのに、ここで大っぴらに聞くとあなたがたが俺も俺もって邪魔するからでしょうが」
「俺もリナリアちゃんのクッキー食いてえ」
「だめだめ、リナリアちゃんをムッツリ溺愛しているハインツが分けてくれるはずねえって」
やんやと盛り上がる周囲をよそに、ハインツは無言で師団の控室とつながっている個室へと入っていく。
銀縁に昇格したときにあてがわれた彼の個室だ。
リナリアは自分が大きな勘違いをしていたことに、初めて気づいたのだった。
「ああ、会えた。手作りのクッキーをもらった」
ハインツが頬をほんのり染めながらローブの内側からクッキーの包みを取り出す。
「うわー、いいなあ。みなさん聞いてくださいよう。ハインツ先輩ったら植え込みの陰から僕たちを見ている婚約者さんを目ざとく見つけて『可愛すぎる』ってにやけてフニャフニャになって訓練にならなかったんですよ?どんだけデレデレなんですか。そのクッキー、僕ももらう権利ありますよね!」
クッキーの包みに伸びていこうとするその腕を、リナリアは渾身の猫パンチで阻止した。
「にゃっ、にゃっ、にゃあぁぁ!」
それはわたしがハインツ様のために焼いたクッキーなの!あなたが食べるなんて百年早くてよっ!
もともとカムフラージュのために作って持ってきていたはずなのに、実はハインツが自分のことを可愛すぎると言ってフニャフニャでデレデレになっていたと知って、リナリアは舞い上がってしまった。
その想いが伝わったか否かは定かではないが、今度はハインツの手が伸びてきて再びリナリアはハインツの腕に収まった。
「フレッド、てめえまた抜け駆けしてハインツに個人指導してもらってたのかよ」
「いいじゃないですかあ!ハインツ先輩にいろいろ教えてもらいたいのに、ここで大っぴらに聞くとあなたがたが俺も俺もって邪魔するからでしょうが」
「俺もリナリアちゃんのクッキー食いてえ」
「だめだめ、リナリアちゃんをムッツリ溺愛しているハインツが分けてくれるはずねえって」
やんやと盛り上がる周囲をよそに、ハインツは無言で師団の控室とつながっている個室へと入っていく。
銀縁に昇格したときにあてがわれた彼の個室だ。
リナリアは自分が大きな勘違いをしていたことに、初めて気づいたのだった。