可憐な花は黒魔導士に二度恋をする
ハインツは大きな執務机の上にリナリアを下ろし、自分も椅子に腰かけるとクッキーの包みを広げた。
猫になって臭覚が敏感になっているのか、美味しそうなバターの豊潤な香りにヒゲと鼻が勝手にヒクヒク動いてしまう。
そんなリナリアを見てくすっと笑ったハインツが、長い指でクッキーをつまんだ。
「食うか? フレッドからクッキーを守ってくれたお礼だ」
「にゃっ!」
鼻先に差し出されたクッキーをぱくっと咥える。
ハインツも一枚口の中に放り込んでサクサクと音を立てながら咀嚼している。
「美味しい。俺の婚約者が作ってくれたんだぞ。とても可愛らしいお嬢さんなんだ。そういやおまえ、ブサイクなくせに瞳の色だけは彼女と一緒だな」
ドキンとして口の端からクッキーの欠片が落ちた。
浮気どころかこの人はどうやら、わたしのことを溺愛しているらしい。
それがわたしに全く伝わっていなかったのは、いわゆる「ツンデレ」というやつだったのね!?
ハインツが笑顔だったのは、額を親指でなでられたリナリアが両耳をフルフルっと揺らした時までだった。
「さてと、それで?随分と雑な魔法のようだけど、きみは一体誰?」
急に室内の温度が下がった気がした。
「迷わず真っすぐに俺について来ただろう?何が目的だ」
猫になって臭覚が敏感になっているのか、美味しそうなバターの豊潤な香りにヒゲと鼻が勝手にヒクヒク動いてしまう。
そんなリナリアを見てくすっと笑ったハインツが、長い指でクッキーをつまんだ。
「食うか? フレッドからクッキーを守ってくれたお礼だ」
「にゃっ!」
鼻先に差し出されたクッキーをぱくっと咥える。
ハインツも一枚口の中に放り込んでサクサクと音を立てながら咀嚼している。
「美味しい。俺の婚約者が作ってくれたんだぞ。とても可愛らしいお嬢さんなんだ。そういやおまえ、ブサイクなくせに瞳の色だけは彼女と一緒だな」
ドキンとして口の端からクッキーの欠片が落ちた。
浮気どころかこの人はどうやら、わたしのことを溺愛しているらしい。
それがわたしに全く伝わっていなかったのは、いわゆる「ツンデレ」というやつだったのね!?
ハインツが笑顔だったのは、額を親指でなでられたリナリアが両耳をフルフルっと揺らした時までだった。
「さてと、それで?随分と雑な魔法のようだけど、きみは一体誰?」
急に室内の温度が下がった気がした。
「迷わず真っすぐに俺について来ただろう?何が目的だ」