可憐な花は黒魔導士に二度恋をする
 若干26歳にして最高ランクの金縁であるハインツ先生は生徒たちの憧れの存在だ。
 彼は幼少期から魔法の才能を見込まれて飛び級し、14歳でもう第2師団で働き始めたエリート中のエリートなのだから。

「なぜ第4師団に?」
 研究室に戻る途中の廊下にハインツ先生の静かな声が響く。

「もとから第4師団を希望していたんです」
 やり直し人生は聖女様と呼ばれてイケメンと結婚しようと思ったのに、その夢があっけなく断たれてしまった。
 
「どうせ無理なことぐらい、わかっていましたけどね」
 自嘲気味に言う。

 エリート中のエリートをもってしても倒すことができなかった凶悪な魔物を宿しているわたしが聖女隊に入れるはずもない。
 わかっていたけど、書いてみたかっただけだ。

 わたしが危険な爆弾を抱えていることをこの学校の生徒たちは知らない。
 体内の時間が4年分巻き戻ってしまい、その解決方法を探るために復学したということになっている。

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