原田くんの赤信号
原田くんが変になったわけ
二月八日、月曜日。
その日の福井くんは、校内のそこかしこで名前を呼ばれていた。
「一昨日の試合、ほとんど福井が得点決めたんだってな!」
「ブロック賞取ったんだって!?福井、すごいじゃないか!」
「さすが福井!」
試合を観戦していない原田くんが言っていたことは、本当だった。
「瑠美ー」
「んー?」
昼休み。窓辺からぼんやりと中庭を眺めていると、美希ちゃんに話しかけられた。
「今日の瑠美、元気ないじゃん」
「そお?」
「なんかあった?」
「べつに……」
はてさて。わたしは元気がないのだろうか。もし元気がないのだとしたら、なぜ元気がないのだろうか。
朝食は好物のオムレツだったし、星占いは久しぶりの一位。外は冬晴れ、暖かな陽の光が気持ちいい。
それなのに、どうしてわたしの心はこんなにも浮かないのだろうか。
自分で自分の気持ちが、よくわからなくなってきた。
「あ、あそこにもいるよ。なんだか元気ない奴」
美希ちゃんはそう言って、中庭の一角を指さした。
「原田翔平くっらっ。円になって騒ぐみんなのこと見てるだけで、自分は参加してないじゃん」
三階から見下ろした原田くんの背中は、哀愁漂う。ギャハハと友人たちははしゃいでいるのに、彼だけはその空気に一切馴染んでいなかった。
「いつもは我先に、円の中心でおどけてるのにねー。原田翔平、どうしたんだろっ」
その日の福井くんは、校内のそこかしこで名前を呼ばれていた。
「一昨日の試合、ほとんど福井が得点決めたんだってな!」
「ブロック賞取ったんだって!?福井、すごいじゃないか!」
「さすが福井!」
試合を観戦していない原田くんが言っていたことは、本当だった。
「瑠美ー」
「んー?」
昼休み。窓辺からぼんやりと中庭を眺めていると、美希ちゃんに話しかけられた。
「今日の瑠美、元気ないじゃん」
「そお?」
「なんかあった?」
「べつに……」
はてさて。わたしは元気がないのだろうか。もし元気がないのだとしたら、なぜ元気がないのだろうか。
朝食は好物のオムレツだったし、星占いは久しぶりの一位。外は冬晴れ、暖かな陽の光が気持ちいい。
それなのに、どうしてわたしの心はこんなにも浮かないのだろうか。
自分で自分の気持ちが、よくわからなくなってきた。
「あ、あそこにもいるよ。なんだか元気ない奴」
美希ちゃんはそう言って、中庭の一角を指さした。
「原田翔平くっらっ。円になって騒ぐみんなのこと見てるだけで、自分は参加してないじゃん」
三階から見下ろした原田くんの背中は、哀愁漂う。ギャハハと友人たちははしゃいでいるのに、彼だけはその空気に一切馴染んでいなかった。
「いつもは我先に、円の中心でおどけてるのにねー。原田翔平、どうしたんだろっ」