原田くんの赤信号
二月十三日、土曜日。
この日は朝から、美希ちゃんと彼女のお母さんに協力してもらいながら、バレンタインデー用のチョコレートを作っていた。
途中、買い物に出かけた美希ちゃんのお母さんを玄関先で見送ると、美希ちゃんはわたしの肩をツンツン突つく。
「ねえ瑠美。このチョコレート、福井斗真ひとりぶんにしては量が多くない?まさか、他にもあげたい人できたとか?」
ニヒヒと悪戯に笑う美希ちゃんに、わたしはこう言った。
「あー、えっとね、原田くん」
それは意外な名前だったのか、美希ちゃんは相当驚いていた。
「え!原田翔平!?瑠美ってば、あんなに変人扱いしてたのに!?」
「へ、変人とまでは言ってないでしょっ。変わり者だとは思うけど」
「どっちかって言うと、苦手なのかと思ってたよ」
「え、わたしが原田くんを?」
「うん。瑠美が原田翔平を」
苦手。
そうか。確かに原田くんを『変』だと思っているぐらいなのだから、わたしと彼は、考え方などが合わないということだ。
わたしは原田くんのことが、苦手だったのか。
じゃあそれならば、どうして今はこんなにも考えてしまうのだろう。
変わり者で、苦手な原田くんのことを。
この日は朝から、美希ちゃんと彼女のお母さんに協力してもらいながら、バレンタインデー用のチョコレートを作っていた。
途中、買い物に出かけた美希ちゃんのお母さんを玄関先で見送ると、美希ちゃんはわたしの肩をツンツン突つく。
「ねえ瑠美。このチョコレート、福井斗真ひとりぶんにしては量が多くない?まさか、他にもあげたい人できたとか?」
ニヒヒと悪戯に笑う美希ちゃんに、わたしはこう言った。
「あー、えっとね、原田くん」
それは意外な名前だったのか、美希ちゃんは相当驚いていた。
「え!原田翔平!?瑠美ってば、あんなに変人扱いしてたのに!?」
「へ、変人とまでは言ってないでしょっ。変わり者だとは思うけど」
「どっちかって言うと、苦手なのかと思ってたよ」
「え、わたしが原田くんを?」
「うん。瑠美が原田翔平を」
苦手。
そうか。確かに原田くんを『変』だと思っているぐらいなのだから、わたしと彼は、考え方などが合わないということだ。
わたしは原田くんのことが、苦手だったのか。
じゃあそれならば、どうして今はこんなにも考えてしまうのだろう。
変わり者で、苦手な原田くんのことを。