原田くんの赤信号
二月十四日、日曜日。バレンタインデー当日。
運命のこの日はきた。
ミントグリーン色の包装紙でくるんだチョコレートを、同じくミントグリーン色の紙袋に入れたわたしは、ヘアスタイルにいつもよりも時間をかけた。
服装は変じゃないかな、とか。リップは色付きのものを塗った方がいいかな、とか。恋する乙女は朝から大忙し。
時刻は朝九時半。約束など取り付ける勇気はなかったから、わたしは福井くんが家にいそうな時間帯に、出発することを決めた。
原田くんへの義理チョコは、明日の月曜日まで冷蔵庫の中。赤くラッピングされたチョコレートは、無機質な冷蔵庫内で目立っていた。
「お母さん!ちょっと出かけてくるねー!」
「どこ行くのー?」
「ちょっと友だちんちー!」
行ってきます、と靴を履き、玄関の扉を開けたその時だった。
「え……」
普通な人に戻ったはずの原田くんが、また変な人となって現れた。
運命のこの日はきた。
ミントグリーン色の包装紙でくるんだチョコレートを、同じくミントグリーン色の紙袋に入れたわたしは、ヘアスタイルにいつもよりも時間をかけた。
服装は変じゃないかな、とか。リップは色付きのものを塗った方がいいかな、とか。恋する乙女は朝から大忙し。
時刻は朝九時半。約束など取り付ける勇気はなかったから、わたしは福井くんが家にいそうな時間帯に、出発することを決めた。
原田くんへの義理チョコは、明日の月曜日まで冷蔵庫の中。赤くラッピングされたチョコレートは、無機質な冷蔵庫内で目立っていた。
「お母さん!ちょっと出かけてくるねー!」
「どこ行くのー?」
「ちょっと友だちんちー!」
行ってきます、と靴を履き、玄関の扉を開けたその時だった。
「え……」
普通な人に戻ったはずの原田くんが、また変な人となって現れた。