犬猿☆ラブコンフリクト
「あーっ、むかつくぅ〜!!」
机に突っ伏しながら足をばたつかせて由紀にグズる。
本当に何なのあいつ。根に持ちすぎでしょ。
確かに私が悪かったと思うよ!?ぶつかっちゃったし・・・足も踏んじゃってたし・・・。
でも、あの態度はないでしょ!?
「あーもーやだ。ムカつき過ぎて涙でそう・・・」
「まぁまぁ。落ち着いて、茉弘」
そっぽを向きながらポンポンっと頭を撫でてくれる由紀。
少し顔を上げてみると私の方ではなく、別の方向を向いていた。
見てる方向は──性悪茶髪野郎?
当の本人は、口元を押さえながら座席表を見てる。
由紀の視線には、気づいていないようだ。
「・・・の・・・・・・ほぅが・・・・・・いぃ・・・」
「・・・・・・?なにがいいの?由紀」
ボソッと由紀の口から零れた言葉がうまく聞き取れずに聞き返すと、私の頭に乗せていた手を引っ込ませて心底驚いているような表情を浮かべていた。
「へ!?いや・・・私の席めっちゃ前だからさ、後ろの方いいな〜って思って」
「あぁ、そっか。由紀、1番前だもんね」
いつもの様にニコッと笑って答える由紀。
本当、女の私でも見惚れちゃうほど可愛い笑顔。
由紀がモテモテな理由、分かるな。
でも・・・なんだろ・・・いつもと様子が違う、ような・・・。
満面の笑みを浮かべているどこか様子のおかしい由紀のことを見つめていると、いつの間にかホームルーム開始のチャイムが鳴り響いた。