絶対通報システム
9月9日
「ねぇ、本当に学校に行くの?」
「うん。不登校だと判断されて、これ以上信用ポイントが下がっても嫌だし」
「そう……絶対に無理しないでね。お母さんは、杏里の味方だからね」
「ありがとう。行ってきます!」
複雑な表情のお母さんに笑顔で応え、私は学校に向かった。
きっと、きっとなにか手があるはずだ。
心臓はすでにバクバクと音を立てていた。
今日はホームルームギリギリに登校できるように調整してみよう。
早く着くと、また変な絡まれ方をされるかもしれない。
「おはよーっ」
教室に入るとき、ほんの少しの希望を持って挨拶をしてみた。
もちろん、返事なんてない。そういえば、横島くんと秋成くんはどう思ってるんだろうか。
ふたりを見ると、困ったような顔で私を見ていた。
所詮、その程度の恋だったということか。
その横で、めぐみちゃんが横島くんにしなだれるようにして声をかけている。
――これで最後の希望も消えた。私は、ひとりで戦っていくしかない。
椅子に座り授業に必要なものを出していると、嫌な感じがした。
私の横には、森さんと若乃さんが立っていた。
「おはよー。あんた、まだ消えてなかったの? よく学校来れたね」
「おはようございます。色々とご迷惑をお掛けしました。ごめんなさい」
ふたりの顔を見るだけで怒りで腸が煮えくり返りそうになる。
だけど、今ここで言い返して、そのことで通報されたらまたポイントが下がってしまう。だいたい、なにもしなくても集団で通報されたら終わりなんだ。今は機嫌を取るしかない。
「は? 急にしおらしくなって、きもいんだけど」
「すいません」
なにを言ってもこうなる気はしていた。
「だいたいね、謝るってのはこうするんだよ!」
若乃さんは私の髪を掴んで、机にぶつけた。
おでこより先に鼻に当たってしまって、顔面にしびれるような痛みが走る。
痛みで目を閉じていても、小さな笑いが耳に入ってくる。私の信用ポイントは27しかない。このポイントは大切にしないと、今は、耐えないと。
「へへ、だっせーの」
森さんと若乃さんは痛そうにしている私を見て満足したのか、自分の席に戻っていった。
こんな暴力を振るわれていても、信用ポイントが低かったら意見することもできない。
早く授業が始まってほしい。そう願ったけど、こんな日に限って、阿部先生は教室に来るのが遅かった。
「うん。不登校だと判断されて、これ以上信用ポイントが下がっても嫌だし」
「そう……絶対に無理しないでね。お母さんは、杏里の味方だからね」
「ありがとう。行ってきます!」
複雑な表情のお母さんに笑顔で応え、私は学校に向かった。
きっと、きっとなにか手があるはずだ。
心臓はすでにバクバクと音を立てていた。
今日はホームルームギリギリに登校できるように調整してみよう。
早く着くと、また変な絡まれ方をされるかもしれない。
「おはよーっ」
教室に入るとき、ほんの少しの希望を持って挨拶をしてみた。
もちろん、返事なんてない。そういえば、横島くんと秋成くんはどう思ってるんだろうか。
ふたりを見ると、困ったような顔で私を見ていた。
所詮、その程度の恋だったということか。
その横で、めぐみちゃんが横島くんにしなだれるようにして声をかけている。
――これで最後の希望も消えた。私は、ひとりで戦っていくしかない。
椅子に座り授業に必要なものを出していると、嫌な感じがした。
私の横には、森さんと若乃さんが立っていた。
「おはよー。あんた、まだ消えてなかったの? よく学校来れたね」
「おはようございます。色々とご迷惑をお掛けしました。ごめんなさい」
ふたりの顔を見るだけで怒りで腸が煮えくり返りそうになる。
だけど、今ここで言い返して、そのことで通報されたらまたポイントが下がってしまう。だいたい、なにもしなくても集団で通報されたら終わりなんだ。今は機嫌を取るしかない。
「は? 急にしおらしくなって、きもいんだけど」
「すいません」
なにを言ってもこうなる気はしていた。
「だいたいね、謝るってのはこうするんだよ!」
若乃さんは私の髪を掴んで、机にぶつけた。
おでこより先に鼻に当たってしまって、顔面にしびれるような痛みが走る。
痛みで目を閉じていても、小さな笑いが耳に入ってくる。私の信用ポイントは27しかない。このポイントは大切にしないと、今は、耐えないと。
「へへ、だっせーの」
森さんと若乃さんは痛そうにしている私を見て満足したのか、自分の席に戻っていった。
こんな暴力を振るわれていても、信用ポイントが低かったら意見することもできない。
早く授業が始まってほしい。そう願ったけど、こんな日に限って、阿部先生は教室に来るのが遅かった。