絶対通報システム
「よ、横島くん!?」
めぐみちゃんは驚きながらも、さっと前髪を整える。
それもそうだろう。横島くんは2年のなかでもトップを争うイケメンだもん。サッカー部で足も早いから、1年のときの体育祭でも目立っていた。
足だってすごく長い。センター分けにしている黒髪もおしゃれだし、女子の間では人気のユーチューバーに似ていると盛り上がっていた。
「中庭で食べるの暑いだろ。 どうしたの?」
「それは、ちょっと……」
私が言葉を濁していると、めぐみちゃんは間に入るようにして喋り始めた。
「それがさ、真澄のやつのせいなんだよ。酒井くんが転校になってから、なんか杏里につきまとってきてんの。教室でもずっと見てくるから気持ち悪くてさ、それで中庭にお弁当食べようってなったのに……」
「なったのに?」
「見てよ、あれ」
めぐみちゃんが顎と視線だけで渡り廊下を教える。
そこには、こちらを見つめる真澄くんの姿があった。
「うっわ……ストーカーみたいなこと?」
「かもしれない。わたしたち、迷惑してるんだよ」
「いや、きっと今まで酒井くんにいじめられてたから、今は誰かと話したいって思ってるんじゃないかな。少しだけ、私が我慢すればいいだけだから……」
できるだけ、事を大きくしたくないのが私の本音だった。
「いや、杏里だけじゃなくわたしも迷惑してるからね?」
めぐみちゃんがため息混じりに言う。
横島くんは私たちを交互に見ると、ぽんと私の頭に手を置いた。
「しゃーねーな。俺がちょっと注意してきてやるよ」
「え、でも……」
私の言葉を聞かずに、横島くんは真澄くんの方へ歩いていく。
「横島くんやばっ! さっとこんなことしてくれるのマジでイケメンなんだけどぉ!」
めぐみちゃんは祈るようなポーズで横島くんの背中を見つめる。
横島くんが真澄くんに何か伝えると、彼は小走りでどこかに去っていった。
どこか困ったような表情で笑いながら、横島くんはもどってくる。
「女子を熱心に見るのは怖がらせるだけだからやめとけよーって言ったら、顔真っ赤にして逃げちゃった」
「なにそれウケる!」
「もう、大丈夫だと思うよ」
「本当にありがとうね! ほら、杏里も」
「あ、ありがとう……」
「いいよ。もし真澄が変なことしてきたら、すぐ俺に言ってこいよ」
「は、はい……」
めぐみちゃんの目はハートになっている。
これはしばらく、横島くんの話題が尽きないだろうな。
めぐみちゃんは驚きながらも、さっと前髪を整える。
それもそうだろう。横島くんは2年のなかでもトップを争うイケメンだもん。サッカー部で足も早いから、1年のときの体育祭でも目立っていた。
足だってすごく長い。センター分けにしている黒髪もおしゃれだし、女子の間では人気のユーチューバーに似ていると盛り上がっていた。
「中庭で食べるの暑いだろ。 どうしたの?」
「それは、ちょっと……」
私が言葉を濁していると、めぐみちゃんは間に入るようにして喋り始めた。
「それがさ、真澄のやつのせいなんだよ。酒井くんが転校になってから、なんか杏里につきまとってきてんの。教室でもずっと見てくるから気持ち悪くてさ、それで中庭にお弁当食べようってなったのに……」
「なったのに?」
「見てよ、あれ」
めぐみちゃんが顎と視線だけで渡り廊下を教える。
そこには、こちらを見つめる真澄くんの姿があった。
「うっわ……ストーカーみたいなこと?」
「かもしれない。わたしたち、迷惑してるんだよ」
「いや、きっと今まで酒井くんにいじめられてたから、今は誰かと話したいって思ってるんじゃないかな。少しだけ、私が我慢すればいいだけだから……」
できるだけ、事を大きくしたくないのが私の本音だった。
「いや、杏里だけじゃなくわたしも迷惑してるからね?」
めぐみちゃんがため息混じりに言う。
横島くんは私たちを交互に見ると、ぽんと私の頭に手を置いた。
「しゃーねーな。俺がちょっと注意してきてやるよ」
「え、でも……」
私の言葉を聞かずに、横島くんは真澄くんの方へ歩いていく。
「横島くんやばっ! さっとこんなことしてくれるのマジでイケメンなんだけどぉ!」
めぐみちゃんは祈るようなポーズで横島くんの背中を見つめる。
横島くんが真澄くんに何か伝えると、彼は小走りでどこかに去っていった。
どこか困ったような表情で笑いながら、横島くんはもどってくる。
「女子を熱心に見るのは怖がらせるだけだからやめとけよーって言ったら、顔真っ赤にして逃げちゃった」
「なにそれウケる!」
「もう、大丈夫だと思うよ」
「本当にありがとうね! ほら、杏里も」
「あ、ありがとう……」
「いいよ。もし真澄が変なことしてきたら、すぐ俺に言ってこいよ」
「は、はい……」
めぐみちゃんの目はハートになっている。
これはしばらく、横島くんの話題が尽きないだろうな。