NEVER~もう1度、会いたい~
それから2週間後、中川は転勤して行った。最後の勤務を終え、病院を後にする彼女を同僚だけでなく、彼女の受け持ち患者たちも見送った。
「本院ってさいたまスタジアム近いんですよね。私、サッカ-大好きなんで、それも楽しみなんです。翔平さん、早くケガを治して、生のプレ-をスタジアムで見せてくださいね。楽しみに待ってます。」
「おぅ。じゃ、元気でな。」
「はい!」
涙もなく、笑顔いっぱいの表情で、見送りの人々に一礼した中川は、でも一瞬名残惜しそうな表情を浮かべた後、クルリと背を向けた。
「俺はひと月ちょっとの付き合いでしたけど・・・寂しくなりますね。」
翔平の言葉に
「患者さんにも我々にも、いつも笑顔で接してくれて、何事にも一所懸命で・・・いなくなってしまうのは本当に残念ですが、でもこればかりは仕方がないことです。」
梶原は頷きながら答える。
「彼女の後任の方はいらっしゃるんですか?」
「入れ替わりで本院から、明日着任すると聞いています。どんな人が来るんでしょうかね?」
穏やかな口調で言うと、梶原は翔平の車イスを押しながら、中に入った。
翌日、朝食を摂り終え、リハビリに向かう時間を待っている翔平のもとに、看護師長が1人の看護師を連れて現れた。
「高城さん、中川の後任が参りましたので、ご紹介します。」
その声を受けて、師長の横に立った看護師の顔を見た翔平の呼吸は一瞬止まった。
(み、未来・・・。)
固まっている翔平に対して
「藤牧未来です。今日よりこちらに着任し、高城さんの看護を担当させていただきます。どうかよろしくお願いします。」
未来の方は、何事もなかったように自然に自己紹介すると、ゆっくりと一礼した。
「藤牧は本院在籍時は呼吸器内科病棟に所属しており、整形外科の担当は初めてになります。不慣れな面はあるかと思いますが、よろしくお願いします。」
「は、はぁ・・・こちらこそ、お願いします。」
「じゃ、藤牧さん。時間ですから、早速リハビリルームに高城さんをお連れして。」
「かしこまりました。」
師長の指示に頷いた未来は、まだよく事態が呑み込めないで、動揺している翔平に手を差し伸べると、手際よく車イスに移動させた。
「では、行きましょう。」
そう言って、2人は師長に見送られて、病室を出た。
「本院ってさいたまスタジアム近いんですよね。私、サッカ-大好きなんで、それも楽しみなんです。翔平さん、早くケガを治して、生のプレ-をスタジアムで見せてくださいね。楽しみに待ってます。」
「おぅ。じゃ、元気でな。」
「はい!」
涙もなく、笑顔いっぱいの表情で、見送りの人々に一礼した中川は、でも一瞬名残惜しそうな表情を浮かべた後、クルリと背を向けた。
「俺はひと月ちょっとの付き合いでしたけど・・・寂しくなりますね。」
翔平の言葉に
「患者さんにも我々にも、いつも笑顔で接してくれて、何事にも一所懸命で・・・いなくなってしまうのは本当に残念ですが、でもこればかりは仕方がないことです。」
梶原は頷きながら答える。
「彼女の後任の方はいらっしゃるんですか?」
「入れ替わりで本院から、明日着任すると聞いています。どんな人が来るんでしょうかね?」
穏やかな口調で言うと、梶原は翔平の車イスを押しながら、中に入った。
翌日、朝食を摂り終え、リハビリに向かう時間を待っている翔平のもとに、看護師長が1人の看護師を連れて現れた。
「高城さん、中川の後任が参りましたので、ご紹介します。」
その声を受けて、師長の横に立った看護師の顔を見た翔平の呼吸は一瞬止まった。
(み、未来・・・。)
固まっている翔平に対して
「藤牧未来です。今日よりこちらに着任し、高城さんの看護を担当させていただきます。どうかよろしくお願いします。」
未来の方は、何事もなかったように自然に自己紹介すると、ゆっくりと一礼した。
「藤牧は本院在籍時は呼吸器内科病棟に所属しており、整形外科の担当は初めてになります。不慣れな面はあるかと思いますが、よろしくお願いします。」
「は、はぁ・・・こちらこそ、お願いします。」
「じゃ、藤牧さん。時間ですから、早速リハビリルームに高城さんをお連れして。」
「かしこまりました。」
師長の指示に頷いた未来は、まだよく事態が呑み込めないで、動揺している翔平に手を差し伸べると、手際よく車イスに移動させた。
「では、行きましょう。」
そう言って、2人は師長に見送られて、病室を出た。