NEVER~もう1度、会いたい~
翌日、翔平は未来を外出に誘った。


「疲れてるでしょ、大丈夫?今日はゆっくり休んだら・・・。」


と未来は案ずるが


「いや、どうしても今日、未来と行きたい所があるんだ。」


翔平は笑顔で答えると、車をスタ-トさせる。そして走ること1時間ほど、郊外に出た車は、やがて鬱蒼とした森の中に分け入って行く。


「どこに行くの?」


やや不安そうに尋ねる未来に


「もうすぐ着くから。」


と翔平が答えてから、まもなく、車はある建物の前に停まった。


「教会・・・?」


未来の前に現れた建物、それは見るからに歴史を感じられる教会だった。


「降りるぞ。」


未来を促した翔平は、彼女の手を取り、まっすぐに教会を目指して進んで行く。


「ねぇ、翔くん・・・。」


何か聞きたげな未来を無視して、翔平は扉を開く。すると2人の視界に趣のあるチャペルが飛び込んで来る。


「はぁ・・・。」


その荘厳な雰囲気に、未来が思わず息を呑んでいると


「行くぞ。」


と言って、翔平はそのまま未来を祭壇まで誘う。そして手を離し、未来の前に立った翔平。


「翔くん・・・?」


戸惑いを隠せない表情で自分を見る未来の前に片膝をついて、翔平は真っすぐに彼女を見上げた。そして


「未来を心から愛しています。俺と結婚してください。」


凛とした口調で言うと、差し出したケースを開いた。中できらめくダイヤの光が目に入り


「翔、くん・・・。」


あまりの意外な展開に、言葉も出なくなっている未来に


「驚かせてごめん。でもずっと決めてたんだ、もし、もう1度、自分がサッカ-選手としてピッチに立つことが出来たら、その次の日にすぐプロポ-ズしようって。『ずっと俺の横にいて欲しい。』って言う俺の言葉に、未来が頷いてくれたあの日から、決めてたんだ。」


翔平は言う。その真摯な眼差しを受けた未来の瞳から、涙がこぼれ落ちる。そして


「ありがとう。とっても嬉しいです。私の方からもお願いします、未来を翔くんの花嫁にして下さい。どうか、末永くよろしくお願いします。」


そう言うと、翔平に一礼して、笑顔を浮かべた。その未来の仕種と表情を見て、立ち上がった翔平は


「よし、決まった。お願いします。」


と声を上げた。
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