NEVER~もう1度、会いたい~
再開された試合は、その後も終始、サムライブル-優勢のまま進み、40分過ぎに翔平が決めた2点目のゴールがとどめとなり、2-0で日本が勝利。見事、W杯出場を決めた。


大歓声に沸くスタンドに手を振り、観客に応える翔平たちを見ながら


「未来の予言通りになったね。」


恵が信じられないと言わんばかりの声を出すと


「だから私じゃないよ、淳くんの予言だから。」


未来はニコニコと笑みを見せる。


「でも、そんなことって・・・。」


「あるんだよ。恵も早く黒部先生と結婚して、子供を身籠ってみればわかるよ。」


「な、なに言ってるのよ、未来・・・。」


突然のツッコミに、動揺を露にする恵に微笑んだ未来は、またグラウンドに目を向ける。


(お疲れ様、翔くん。これで忘れ物を取りに行けるね。)


その視線の先には、喜びを隠さずに誰彼となくハグを繰り返している夫の姿があった。


果たして、試合後の記者会見で、翔平はその思いを吐露した。


「4年前、僕はここ、さいたまスタジアムで大怪我をし、一時は代表入りどころか選手生命を諦める寸前まで、追い込まれました。でも妻を始めとした家族や周囲のみなさんに支えられ、大勢のサポ-タ-からの声援に励まされて、ここまで来ることが出来ました。本当にありがとうございました。かくなる上は、W杯で日本をベスト8に導いて、ご恩返しをしたいと思います。引き続き、ご声援をよろしくお願いします。」


そう言って、頭を下げた翔平に、眩いばかりのフラッシュライトが浴びせられていた。
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