NEVER~もう1度、会いたい~
⑥
翔平が目覚めた時、彼は既に病室のベッドの上だった。
「どう、ご気分は?」
声がした方を見ると、朱莉が優しい笑顔を湛えて、自分を見ていた。
「終わったのか?」
「予定の2時間を超えて、3時間に及ぶ難手術となったけど、無事にね。」
「そうか・・・。」
「終わったあと先生から、ご両親とマネ-ジャ-と協会の方に、『手術は成功いたしましたので、ご安心ください』って説明があった。そして本当は患者御本人にも説明しなきゃならないんだけど、このあとどうしても外せない出張があるからって、慌ただしく成田に出発したそうよ。」
「それでみんなは?」
「マネ-ジャ-さんと協会の方は、マスコミ対応とか今後のことの対応に行かれた。ご両親は翔平が目が覚める頃にまた来るって、いったん帰られたわ。」
「なんだよ、それ。大手術を終えた大事な息子が目を覚ますまで待ってるだろう、普通。」
「手術は成功したって言うし、それに・・・私たちを2人にしてやろうって気を遣って下さったんだよ。」
不満気な声を出す翔平を、朱莉が笑いながら宥める。
「そっか・・・でも朱莉だって仕事の方は大丈夫なのかよ。ずっと休んでくれてるんだろ?」
「そんなの翔平が気にしなくてもいいんだよ。」
「でも・・・。」
「こんな時くらい、翔平の側に居させてよ。私・・・あなたの彼女なんだから。」
顔を見合わせる2人、そして
「すまない、気を遣わせて。」
申し訳なさそうに言う翔平を見た朱莉は、一瞬寂しそうな表情を浮かべると、静かに首を振った。なんとなく気まずい空気が流れる、それを破るように
「先生がね、不在の間のことはスタッフにキチンと指示しておくから、安心してくれって。」
と語り掛ける。
「忙しい先生なんだな、そんな先生に手術してもらえたのは光栄なことだよ。」
「当たり前じゃない。日本が誇るエースストライカ-の一大事なんだから。」
「日本のエースストライカ-の称号はもう返上だな、肝心のW杯に出られねぇんだから。」
「何言ってるの。次のW杯は無理でも、まだ4年後があるじゃない。」
「4年後、か・・・。」
「そうだよ。だから明日からリハビリ、頑張らないと。」
「そう、だな・・・。」
励ましの言葉を口にする朱莉に小さく頷いた翔平は、ふっと窓の外に目をやった。
「どう、ご気分は?」
声がした方を見ると、朱莉が優しい笑顔を湛えて、自分を見ていた。
「終わったのか?」
「予定の2時間を超えて、3時間に及ぶ難手術となったけど、無事にね。」
「そうか・・・。」
「終わったあと先生から、ご両親とマネ-ジャ-と協会の方に、『手術は成功いたしましたので、ご安心ください』って説明があった。そして本当は患者御本人にも説明しなきゃならないんだけど、このあとどうしても外せない出張があるからって、慌ただしく成田に出発したそうよ。」
「それでみんなは?」
「マネ-ジャ-さんと協会の方は、マスコミ対応とか今後のことの対応に行かれた。ご両親は翔平が目が覚める頃にまた来るって、いったん帰られたわ。」
「なんだよ、それ。大手術を終えた大事な息子が目を覚ますまで待ってるだろう、普通。」
「手術は成功したって言うし、それに・・・私たちを2人にしてやろうって気を遣って下さったんだよ。」
不満気な声を出す翔平を、朱莉が笑いながら宥める。
「そっか・・・でも朱莉だって仕事の方は大丈夫なのかよ。ずっと休んでくれてるんだろ?」
「そんなの翔平が気にしなくてもいいんだよ。」
「でも・・・。」
「こんな時くらい、翔平の側に居させてよ。私・・・あなたの彼女なんだから。」
顔を見合わせる2人、そして
「すまない、気を遣わせて。」
申し訳なさそうに言う翔平を見た朱莉は、一瞬寂しそうな表情を浮かべると、静かに首を振った。なんとなく気まずい空気が流れる、それを破るように
「先生がね、不在の間のことはスタッフにキチンと指示しておくから、安心してくれって。」
と語り掛ける。
「忙しい先生なんだな、そんな先生に手術してもらえたのは光栄なことだよ。」
「当たり前じゃない。日本が誇るエースストライカ-の一大事なんだから。」
「日本のエースストライカ-の称号はもう返上だな、肝心のW杯に出られねぇんだから。」
「何言ってるの。次のW杯は無理でも、まだ4年後があるじゃない。」
「4年後、か・・・。」
「そうだよ。だから明日からリハビリ、頑張らないと。」
「そう、だな・・・。」
励ましの言葉を口にする朱莉に小さく頷いた翔平は、ふっと窓の外に目をやった。