NEVER~もう1度、会いたい~
手術の成功が報じられた後、しかし翔平のサッカ-選手としての前途に懐疑的な声は、決して大きくはなかったが、囁かれていた。
「確かに今回の翔平と似たようなケガから、結果的に1年2ヶ月で復帰した野球選手がいることは事実だ。しかし、まず彼より翔平の方が単純にケガの程度が重い。それに野球選手とサッカ-選手では、プレ-中の運動量が違う。リハビリの質も内容も当然違ってくる。どんな早くても2年はかかるんじゃないか?」
「うん、一歩間違えれば、通常生活に支障が出かねないレベルの大怪我なんだ。前例があるからと言っても、楽観視は出来ないな。」
協会内にも翔平の所属クラブチ-ム内にも悲観的な意見があった。
リハビリのスタ-トは、まず立つことから始まった。次に歩く、ついこの間まで、何の気なしに出来た日常動作が、介助がなければ始められない。そして、耐え難いほどの激痛を伴うのだ。
そんな痛みに襲われる一方、右足指の感覚はなく、膝から下をスム-ズに動かすことも難しかった。
(覚悟はしていたが・・・これは正直厳しいな・・・。)
さすがに翔平は内心思ったが、しかしそれを表に一切出さず、ひたむきにリハビリに取り組んだ。しかし1ヶ月が過ぎても、目立った改善が表れず、遠山の手で再検査が行われた。結果は
「手術は間違いなく成功だよ、患部の状況は着実に改善している。なかなか目に見えるようなリハビリ効果が見えてこないで、不安な気持ちになるのは当然だと思うが、今回のケガはそれだけ重篤だということなんだよ。とにかく焦らず、着実に一歩一歩進んで行くことだ。いいね。」
との診断だった。診察室を辞し、立ち会った朱莉に車いすを押してもらい、翔平は屋上に向かった。エレベ-タ-が開き、外へ出た2人の前に、抜けるような青い空が広がっていた。
「結構、いい眺めだね。」
それを見て、朱莉が言った。
「ああ気持ちいい。やっぱり外はいいね、開放的な気持ちになれる。」
思わず大きく息を吸い込んでそう言った朱莉には答えず、翔平はじっと前を見つめる。こうやって、車イスで病院の屋上に来ると、蘇って来る光景がある。思わず感慨にふける彼に
「でもさ、とりあえずよかったね、翔平。苦しいのはわかるけど、またリハビリ頑張ろうね。」
感慨にふけっている翔平には気付かずに、朱莉は努めて明るい表情で言った。
「あ、ああ。そうだな・・・まだまだ始まったばっかりだもんな。先は長い、一歩一歩焦らずに、だよな。」
その言葉が耳に入って、ようやく朱莉の存在に気が付いたかのように、やや慌てて翔平は答えていた。
「確かに今回の翔平と似たようなケガから、結果的に1年2ヶ月で復帰した野球選手がいることは事実だ。しかし、まず彼より翔平の方が単純にケガの程度が重い。それに野球選手とサッカ-選手では、プレ-中の運動量が違う。リハビリの質も内容も当然違ってくる。どんな早くても2年はかかるんじゃないか?」
「うん、一歩間違えれば、通常生活に支障が出かねないレベルの大怪我なんだ。前例があるからと言っても、楽観視は出来ないな。」
協会内にも翔平の所属クラブチ-ム内にも悲観的な意見があった。
リハビリのスタ-トは、まず立つことから始まった。次に歩く、ついこの間まで、何の気なしに出来た日常動作が、介助がなければ始められない。そして、耐え難いほどの激痛を伴うのだ。
そんな痛みに襲われる一方、右足指の感覚はなく、膝から下をスム-ズに動かすことも難しかった。
(覚悟はしていたが・・・これは正直厳しいな・・・。)
さすがに翔平は内心思ったが、しかしそれを表に一切出さず、ひたむきにリハビリに取り組んだ。しかし1ヶ月が過ぎても、目立った改善が表れず、遠山の手で再検査が行われた。結果は
「手術は間違いなく成功だよ、患部の状況は着実に改善している。なかなか目に見えるようなリハビリ効果が見えてこないで、不安な気持ちになるのは当然だと思うが、今回のケガはそれだけ重篤だということなんだよ。とにかく焦らず、着実に一歩一歩進んで行くことだ。いいね。」
との診断だった。診察室を辞し、立ち会った朱莉に車いすを押してもらい、翔平は屋上に向かった。エレベ-タ-が開き、外へ出た2人の前に、抜けるような青い空が広がっていた。
「結構、いい眺めだね。」
それを見て、朱莉が言った。
「ああ気持ちいい。やっぱり外はいいね、開放的な気持ちになれる。」
思わず大きく息を吸い込んでそう言った朱莉には答えず、翔平はじっと前を見つめる。こうやって、車イスで病院の屋上に来ると、蘇って来る光景がある。思わず感慨にふける彼に
「でもさ、とりあえずよかったね、翔平。苦しいのはわかるけど、またリハビリ頑張ろうね。」
感慨にふけっている翔平には気付かずに、朱莉は努めて明るい表情で言った。
「あ、ああ。そうだな・・・まだまだ始まったばっかりだもんな。先は長い、一歩一歩焦らずに、だよな。」
その言葉が耳に入って、ようやく朱莉の存在に気が付いたかのように、やや慌てて翔平は答えていた。