NEVER~もう1度、会いたい~
翔平はそれからも、精力的にリハビリに取り組んだ。3ヶ月、4ヵ月・・・時は着実に流れて行くが、状態は一進一退。順調とはお世辞にも言えない状況だった。
「痛ぇ!」
苦痛に顔を歪め、思わず声が出る。毎日の歩行訓練、しかしなかなか負荷を上げられない。痛みは激しかった。
「少し休みましょう。」
トレ-ナ-の松山祐一が声を掛けると
「いや、まだ大丈夫、続けさせてください。」
翔平は首を振ると、手すりにつかまって歩き出す。痛みに顔を歪めながら、しかし最後まで歩き切った彼に
「大丈夫ですか?」
松山が声を掛けて手を貸し、傍らの休憩用のイスに彼を座らせる。肩で息をする翔平を見て
「高城さん、無理は禁物です。」
思わずそんな言葉がトレ-ナ-の口をつく。そんな彼の顔をチラリと見て
「わかってる、わかってるつもりです。でも、はっきり言ってリハビリのペースが全然上がって来てない。そんな状況で焦るなという方が無理ですよ。」
翔平はやや尖った声を出す。
「正直言って、当初のプラン通りにリハビリが進んでいないのは確かです。しかしプランはあくまでプランです。私たちは現実を見て、慎重に事を進めて行く必要があります。プランに振り回され、焦ることはリハビリでもっともタブ-なことですよ。」
諭すように言うトレ-ナ-に対して
「リハビリのペースだけじゃない、足先のしびれがずっと取れないし、膝から下の動きも相変わらずスム-ズに行かない。正直、不安になって来ますよ。」
翔平は強い口調で訴える。
「私は医師ではないので、患部の状態について、軽率なことは言えませんが、定期検査でも特に問題は見当たらないということですから、その辺のことはリハビリの進行と共に時間が解決してくれることもあると思います。私の口から言えることは、薄皮を1枚1枚剥ぐようで、実感がなかなか湧かないかもしれませんが、状態は確実に上向いています。とにかく焦らないで行きましょう。」
落ち着いた優しい口調で語り掛けて来る松山の顔を、翔平は少し眺めていたが
「ローマは1日にしてならず、頭ではわかってるんですよ。でも、誰にも言ってないですけど、実は俺、今回のW杯に結構賭けてたんですよ。それがこんなことになっちまって・・・せめて現地に行って、仲間たちに声援を贈りたい、そう思ってたんだけど、とてもそんな状況でもないから。とにかく悔しいんです。」
そう言って、唇を噛んだ。
「痛ぇ!」
苦痛に顔を歪め、思わず声が出る。毎日の歩行訓練、しかしなかなか負荷を上げられない。痛みは激しかった。
「少し休みましょう。」
トレ-ナ-の松山祐一が声を掛けると
「いや、まだ大丈夫、続けさせてください。」
翔平は首を振ると、手すりにつかまって歩き出す。痛みに顔を歪めながら、しかし最後まで歩き切った彼に
「大丈夫ですか?」
松山が声を掛けて手を貸し、傍らの休憩用のイスに彼を座らせる。肩で息をする翔平を見て
「高城さん、無理は禁物です。」
思わずそんな言葉がトレ-ナ-の口をつく。そんな彼の顔をチラリと見て
「わかってる、わかってるつもりです。でも、はっきり言ってリハビリのペースが全然上がって来てない。そんな状況で焦るなという方が無理ですよ。」
翔平はやや尖った声を出す。
「正直言って、当初のプラン通りにリハビリが進んでいないのは確かです。しかしプランはあくまでプランです。私たちは現実を見て、慎重に事を進めて行く必要があります。プランに振り回され、焦ることはリハビリでもっともタブ-なことですよ。」
諭すように言うトレ-ナ-に対して
「リハビリのペースだけじゃない、足先のしびれがずっと取れないし、膝から下の動きも相変わらずスム-ズに行かない。正直、不安になって来ますよ。」
翔平は強い口調で訴える。
「私は医師ではないので、患部の状態について、軽率なことは言えませんが、定期検査でも特に問題は見当たらないということですから、その辺のことはリハビリの進行と共に時間が解決してくれることもあると思います。私の口から言えることは、薄皮を1枚1枚剥ぐようで、実感がなかなか湧かないかもしれませんが、状態は確実に上向いています。とにかく焦らないで行きましょう。」
落ち着いた優しい口調で語り掛けて来る松山の顔を、翔平は少し眺めていたが
「ローマは1日にしてならず、頭ではわかってるんですよ。でも、誰にも言ってないですけど、実は俺、今回のW杯に結構賭けてたんですよ。それがこんなことになっちまって・・・せめて現地に行って、仲間たちに声援を贈りたい、そう思ってたんだけど、とてもそんな状況でもないから。とにかく悔しいんです。」
そう言って、唇を噛んだ。