NEVER～もう1度、会いたい～

事実、コメント欄には


『翔平選手の言う通りだと思います。W杯まではまだ時間がある、サムライブル－の面々を信じて見守って行きましょう。』


『翔平の無念さは、選手全員がわかっている。だから、彼らはその思いにきっと応えてくれるはず。』


『翔平選手、メッセ－ジをありがとう。リハビリ、大変だと思いますが、焦らず、頑張ってください。私たちは、あなたのお帰りをずっと待っています。』


と言った前向き、暖かな内容のものが多く寄せられた。ところが翌日、あるスポ－ツ紙の報道が、雰囲気を一変させてしまうことになった。


『高城翔平、復帰絶望か？懸命のリハビリも状態上がって来ず。』


病院、サッカ－協会関係者への取材に基づくスク－プ記事だった。当然、ネットは沸騰し、翔平のSMSには悲鳴にも似たコメントが次々と寄せられた。彼のSNSの更新はなく、久しぶりに病院に押し寄せたマスコミ陣に対して、対応したのは翔平のマネ－ジャ－だった。


「報道は事実ではありません。劇的な回復を見せていないのは確かですが、ケガの重さから言っても、想定の範囲内です。本人は元気に、意欲的にリハビリに取り組んでおりますので、皆様方におかれましても、暖かく見守ってやっていただきたいと思います。」


だが報道陣は、この通り一遍のコメントでは納得せず、翔平の入院以来、1度も会見に応じていない主治医、病院側の対応に不満の声が上がった。また


「翔平選手のリハビリの様子を改めて公開していただきたい。彼が元気にリハビリに励んでいる姿を見て、また翔平選手のコメントを直接聞ければサポ－タ－たちも安心するのではないか。」


との要望も出たが、病院、主治医の会見は、発表している症状と手術は無事成功したということ以外、お話しすることもないので、現段階では予定していないとマネ－ジャ－は回答。


「手術は成功したとおっしゃるが、現実に翔平選手の状態が上がって来ていない以上、それが本当なのか疑わしいという声もある。このような記事が出た以上、主治医が会見を開かれ、キチンと説明するのが当然ではないのか？」


詰め寄る記者に


「主治医の先生は非常にご多忙でいらっしゃるので、時間的余裕がないというのが現実だ。またリハビリの公開も、他の患者さんとの兼ね合いもあるので難しい。どうか、ご理解いただきたい。」


と応じる様子を見せずに、そのまま会見を打ち切った。この対応は、かえって様々な憶測を生み、マスコミの動きを活発化させてしまう皮肉な結果を招くことになってしまった。