NEVER~もう1度、会いたい~
そんな喧騒をよそに、翔平は懸命なリハビリを続けていた。その成果が出て、順調な回復を見せていた時期もあったのだが、しかしその上昇カーブはやがて停滞。一進一退の状態に入ってしまっていた。
そして3週間ほど前、これは公表されてはいないが、遠山医師の手で再手術が行われていた。これで改善方向に進むことが期待されたが、結果は残念ながら芳しいとは言えない状況だった。
「少し休みましょう。」
トレ-ナ-の松山の声を受け、翔平は椅子に腰を下ろす。
「クソッ。」
そんな言葉が思わず口をつく。負傷してからもう半年以上が過ぎようとしていた。前向きな姿勢を失わずに来た翔平も、最近は苛立ちや焦りを隠せないことが増えて来ていた。
「一休みしたら、あと3往復、チャレンジしてみましょう。」
松山の言葉に、思わずキッと彼を見た翔平は、しかしすぐに下を向くと
「先生、俺、本当に歩けるようになるんですかね?」
ポツンと呟くように尋ねる。「ピッチに立てるようになるのか?」ではなく「歩けるようになるのか?」と翔平が口にしたことに、松山は内心愕然としたが
「そこがあなたの目標じゃないでしょ。」
素知らぬ風に言った。
リハビリが終わり、病室に戻ると、朱莉が待っていた。
「お帰り。」
「おぅ、来てくれてたのか。」
朱莉の顔を見て、さすがに翔平の顔がほころぶ。車椅子を押して来てくれたリハビリスタッフの手を借りて、ベッドに横たわる翔平。そして彼らが一礼して、病室を出ると、翔平と朱莉は2人きりになった。
「どう、具合は?」
「ハッキリ言ってよくねぇよ、とにかく右足先の感覚が戻らねぇんだ。これじゃ走れねぇよ。」
「再手術でも良くならないの?」
「今のところは・・・。医者は効果が出るには、まだ少し時間が掛かるとは言ってるが、このままじゃ、ピッチに戻るどころか、日常生活にも影響が出る。下手したら一生車いすの世話にならなきゃならないかもな。」
そう言って、苦笑気味の表情を浮かべた翔平に
「縁起でもないこと言わないで。」
朱莉は厳しい顔で窘める。
「わかってるよ。でも半年以上経ってもこの状況じゃ、さしものポジティヴ派の俺だって、さすがに段々めげてくるよ。」
「翔平・・・。」
そして3週間ほど前、これは公表されてはいないが、遠山医師の手で再手術が行われていた。これで改善方向に進むことが期待されたが、結果は残念ながら芳しいとは言えない状況だった。
「少し休みましょう。」
トレ-ナ-の松山の声を受け、翔平は椅子に腰を下ろす。
「クソッ。」
そんな言葉が思わず口をつく。負傷してからもう半年以上が過ぎようとしていた。前向きな姿勢を失わずに来た翔平も、最近は苛立ちや焦りを隠せないことが増えて来ていた。
「一休みしたら、あと3往復、チャレンジしてみましょう。」
松山の言葉に、思わずキッと彼を見た翔平は、しかしすぐに下を向くと
「先生、俺、本当に歩けるようになるんですかね?」
ポツンと呟くように尋ねる。「ピッチに立てるようになるのか?」ではなく「歩けるようになるのか?」と翔平が口にしたことに、松山は内心愕然としたが
「そこがあなたの目標じゃないでしょ。」
素知らぬ風に言った。
リハビリが終わり、病室に戻ると、朱莉が待っていた。
「お帰り。」
「おぅ、来てくれてたのか。」
朱莉の顔を見て、さすがに翔平の顔がほころぶ。車椅子を押して来てくれたリハビリスタッフの手を借りて、ベッドに横たわる翔平。そして彼らが一礼して、病室を出ると、翔平と朱莉は2人きりになった。
「どう、具合は?」
「ハッキリ言ってよくねぇよ、とにかく右足先の感覚が戻らねぇんだ。これじゃ走れねぇよ。」
「再手術でも良くならないの?」
「今のところは・・・。医者は効果が出るには、まだ少し時間が掛かるとは言ってるが、このままじゃ、ピッチに戻るどころか、日常生活にも影響が出る。下手したら一生車いすの世話にならなきゃならないかもな。」
そう言って、苦笑気味の表情を浮かべた翔平に
「縁起でもないこと言わないで。」
朱莉は厳しい顔で窘める。
「わかってるよ。でも半年以上経ってもこの状況じゃ、さしものポジティヴ派の俺だって、さすがに段々めげてくるよ。」
「翔平・・・。」