NEVER~もう1度、会いたい~
それから少し経った昼食タイム。翔平は病室ではなく、見舞い客も利用出来るレストルームに居た。


そして間もなく、看護師に付き添われて、未来が現れた。


「翔平くん、お待たせしました。」


そう言って、微笑んだ未来に


「だ、大丈夫。俺も今、来た所だから!」


なぜか大きな声で答えた翔平。そんな彼に看護師は


「じゃ翔平くん、未来ちゃんのこと、よろしくね。未来ちゃん、あとで迎えに来るから。」


と声を掛けて、2人から離れて行った。


「いただきます。」


そう言って、フッと目が合った2人は少し恥ずかしそうに視線を交わすと、お互い箸を取った。普段は自分の病室で摂る食事、同室の患者と話して食べることもあまりない。なのに、つい先ほど、知り合ったばかりの翔平と未来が、向かい合って食事を摂り始めた。


「まず聞きたいんだけど、何年生?」


翔平から質問が飛ぶ。


「中学校1年生。」


「同い年かぁ。じゃ、未来って呼んでもいいか?」


「えっ?いきなり呼び捨て?」


「いいじゃん。いちいちちゃん付けするの面倒臭いし。だから、お前も俺のこと、『翔平』って呼び捨てにしてくれよ。」


あっけらかんと言うと、翔平は笑う。


(この子、凄いオープンマインドだ・・・。)


思わず、そんなことを考えたが、そういう翔平の態度が、未来も嫌ではなかった。


「じゃ、私は翔くんって呼ばせてもらうね。その方が私には呼びやすいから。」


と返すと


「わかった。じゃ改めてよろしく、未来。」


「こちらこそよろしくね、翔くん。」


2人は笑顔を交わした。


「でも、よかった。」


「えっ?」


「また会えてさ。お前、あれから屋上来なくなったし、探そうにも、下の名前はあの時に聞いたけど、どこの病棟に入院してるのかもわかんないし、院内学級のイベントも欠席。その上、この足じゃ思うように動けないから・・・どうしようって思ってたんだ。だから、さっきエレベ-タ-で会えた時、すげぇ嬉しくなって、思わず声掛けちまったんだ。」


声を弾ませる翔平に


「そうだったんだ。あの日さ、病室にずっと閉じこもってるのに飽きちゃって、なんか久しぶりに屋上からの景色が見たくなって少しの時間なら大丈夫かなって思って行ってみたんだけど、やっぱり暑さにやられちゃって、ちょっと体調崩しちゃったんだ。黙って勝手なことしてって、後で先生や看護師さんに凄く怒られちゃった・・・。」


そう言って、未来は少しバツ悪そうな表情を浮かべた。
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