NEVER~もう1度、会いたい~
「見かけによらず、無鉄砲なんだな?でも、未来の気持ちはわかるよ。実は俺もあの日、ようやくベッドから降りていいって許可が出てさ。とにかく、3日間もまるっきり身動き取れなかったんだから。きつかったぞ。」


翔平はそう言って笑った。


「翔くんはその足、どうしたの?」


「俺、サッカ-やっててさ。」


「試合中にケガしちゃったの?」


「いや。」


「練習中?」


「練習中ではないな。」


「じゃ、いつ?」


「うん、友達と公園でサッカ-して遊んだあと、なんだかわかんないけど、ボールの上でどのくらい立ってられるか競争しようって話になって。そしたら、転倒して、動けなくてすぐ病院連れてかれて・・・左足首複雑骨折で即入院、手術になった・・・。『バカなことして。もし利き足の右の方だったら、サッカ-出来なくなってたかもしれんぞ。』って先生に滅茶苦茶怒られた。」


と今度は翔平の方がバツが悪そうに言う。


「なに、それ?」


思わず吹き出す未来に


「笑うなよ。」


むくれる翔平。だが


「だって、おかしいんだもん。」


未来はまだ笑っている。


「ちぇ、いいか未来。男にはな、引くに引けない勝負があるんだ。」


「そうなの?でも少なくとも、その競争は違うと思うよ。」


恰好付けて言ってみたものの、未来にあっさり却下されて、翔平は憮然としながら、箸を口に運んだ。膨れている翔平に


「ごめんね,笑っちゃって。でも翔くんって面白いね。」


未来は笑顔を向ける。


「未来、それ、フォロ-になってねぇ。」


「えっ、そう?」


そして顔を見合わせて、吹き出した2人の距離は一気に縮まった。


「翔くんはサッカ-上手なの?」


「一応、チ-ムのレギュラ-。」


「1年生なのに?凄~い。」


未来の言葉に、翔平は得意げな表情を浮かべると


「この足が治るまで、まだちょっと時間が掛かるけど、治ったらまた全力でサッカ-やって。目標はJリーガ-になって、そして日本を代表するエースストライカ-になること。」


と言って、顔を輝かせる。


「偉いね、翔くんは。ちゃんとした夢や目標を持ってて。」


「そうかな?」


少し照れたような表情を浮かべた翔平に


「私ね。」


未来は話し始める。
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