NEVER~もう1度、会いたい~
「心臓に難があってさ。」


「えっ?」


「小さい頃から、ずっと入退院を繰り返してるんだ。」


「そうなんだ・・・。」


入院してるのだから、何かの病気なのはわかっていたが、予想以上の重い告白に、翔平の表情が固くなる。


「だから、なかなか学校にも行けないし、登校しても、激しい運動なんかとても無理だし、他にもみんなと同じに出来ないことがいくつもあって。そんなんで、学校じゃ友だちもほとんどいなくて。院内学級の仲間はいるけど、学年とかバラバラなんで。」


「・・・。」


「だから同い年の翔くんと、こうやって仲良くなれて凄く嬉しい。翔くんが私のこと、探してくれたお陰だね。」


それまで落ち着いた表情で語っていた未来が、ここでにっこりと微笑んだ。


「お、おぅ。なら、よかった・・・。」


その未来の表情に、ドギマギしながら翔平は答える。


「本当にありがとう。でもさ。」


「うん?」


「なんで翔くんは、私を探してくれてたの?」


尋ねる未来。


「そんなの・・・決まってんじゃん。もう1度、未来に会いたかったから。未来のことが気になったからに。」


「えっ?」


(それ、どういう意味?)


あまりにストレートな答えが返って、未来は戸惑い、そして少し顔を赤らめた。でもそんな彼女に気付かず、何事もなかったかのように箸を動かし始めた翔平に


(何食わぬ顔して、こんなこと言って、この子ズルいよ・・・。)


未来は内心、抗議していた。


そんなチグハグなやりとりもあったが、そのあとも2人は、楽しいランチタイムを過ごした。


「どう、食べ終わった?」


と未来の担当看護師が顔を出した時、2人は既に1時間以上の時間が過ぎていることに気が付いて驚いた。


「はい。」


頷いた未来に


「翔平くんと仲良くなれた?」


看護師が聞いてみる。すると


「はい、とっても。」


未来がそう言って満面の笑顔を浮かべたのを見て、そして


「明日も未来と一緒にご飯食べる約束したんです。構いませんよね?」


更に勢い込んで聞いて来た翔平を見て


(翔平くん、もう未来ちゃんのこと、呼び捨てなんだ・・・。)


看護師は思わず微笑ましい気持ちになった。


「もちろんだよ。」


看護師の返事にパッと表情を明るくした2人は


「じゃ未来、また明日な。」


「うん、今日はありがとう。翔くん。」


笑顔を交わし合い、レストル-ムを後にした。
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