NEVER~もう1度、会いたい~
「じゃ、未来は東京の高校に行くのか?」


一方、やや表情を固くして尋ねる翔平は


「私の体調次第だけど、たぶん近々引越しをして、もう中学の間に転校することになると思う。」


という未来の返事に、驚きの表情を浮かべた。


「引っ越しちゃうのか?」


「うん・・・翔くんや恵と一緒に卒業できないのは寂しいけど、でも新しい環境に慣れるなら、少しでも早い方がいいからね。」


未来の返事に、翔平の表情が厳しさを帯びる。それを見て


「翔くん・・・?」


不安そうに声を掛ける未来の顔をキッと見た翔平は


「その高校、ここからだと通うのにどのくらい時間が掛かるんだ?」


と尋ねる。


「2時間以上掛かるんじゃないかな?」


「わかった。じゃ俺、下宿するわ。」


「えっ?」


「さすがに2時間以上じゃ通えないからな。」


「ちょっと翔くん、何言い出して・・・。」


未来は慌てるが


「そうと決まれば、せっかくの話だけど、東松山高の推薦は断らねぇとな。じゃ、俺帰って、親に話して来るわ。」


平然と言って、立ち上がろうとする翔平に


「ちょっと待って!」


未来は懸命に声を掛けると


「翔くん、なにバカなこと言ってるのよ!」


やや声を荒げる。


「お前と同じ高校に行けないことは、ある程度覚悟してたけど、でもそんな遠くの学校にお前が行っちゃうなんて、夢にも思ってなかった。でも治療や勉強のことを考えれば、それが未来の為なんだから仕方がない。だったら俺も一緒に行くよ。」


「翔くん・・・。」


「俺にとってサッカ-はもちろん大切だけど、それ以上に未来と一緒にいられる時間の方がずっと大切なんだ!」


翔平はそう言い切って、未来を真っすぐに見る。その視線を受け止めて、やや茫然とした未来だったが、すぐに


「翔くん、ありがとう。」


笑顔で言ったが


「翔くんの気持ち、とっても嬉しい。でも・・・それはダメだよ。」


穏やかな口調で、静かに首を振った。


「翔くんはサッカ-を辞めちゃ絶対にダメだよ。だって、翔くんはサッカ-をやっている時が一番輝いてるんだもん。それに翔くん、初めて一緒に2人でご飯を食べた時、言ってたよね。『俺は将来、日本のエースストライカ-になる』って。それを聞いた時、素敵な夢だなって思った。翔くんにはその夢を絶対に果たして欲しい、ううん、翔くんなら絶対になれるよ。だから・・・。」


「未来はそれでいいのかよ?」


「えっ?」
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