NEVER~もう1度、会いたい~
③
その日、午前中のリハビリを終え、昼食を摂った後、翔平は屋上に向かった。
「屋上で何をなさるんですか?」
車椅子を押してくれている看護師に聞かれ
「いや、特に。ただ、病院の屋上から眺める景色が昔から好きなんで。」
と答える。
「昔から結構入院とかされたんですか?」
「お陰様でこれまで病気には無縁で来てるんだけど、商売柄、ケガで何度か入院を余儀なくされて。それに・・・。」
ここで翔平は言葉を切った。
「それに?」
「いや、日がな一日、ベッドに横になってなきゃならないと、やたら外が恋しくなるから。」
看護師の問いを、そんな言葉で繕っていると、エレベーターの扉が開いた。屋上に出た翔平は、まぶしさにフッと目を細める。
「秋晴れのいい気候になりましたね。」
看護師がしみじみと言って来る。
「今日みたいに天気がよくて、もう少し寒くなって、空気が澄んで来ると、富士山がここから綺麗に見えるんですよ。」
「そうなんだ、見てみたかったな。」
呟くように答えた翔平に
「じゃ、30分くらいしたら、また迎えに来ますね。」
看護師は告げる。
「お手数掛けて、すみません。」
「とんでもないです、じゃ。」
と行きかけた彼女に
「あっ。」
翔平が呼び止めるように声を掛けた。
「はい。」
「あの、みら・・・いや藤牧さん、今日出勤かな?」
「藤牧?看護師の藤牧未来ですか?」
「うん。」
「ごめんなさい。彼女とは所属が違うんで、全然わからないです。未来とお知り合いなんですか?」
「中学時代のクラスメイトなんだ。」
「あ、そっか。恵先生とクラスメイトでしたもんね。じゃ、未来ともそうだってことですよね。」
「本多から彼女もこの病院にいるって聞いて懐かしくて。もし彼女に会ったら、高城がよろしくって言ってたって伝えておいてよ。」
「わかりました。でもいいなぁ、未来も恵先生も高城選手とクラスメイトだったなんて。じゃ、また後ほど。」
そう言って笑顔を見せると、看護師は足取りも軽く立ち去っていく。その後ろ姿を見送りながら、翔平はひとつため息をついた。
「屋上で何をなさるんですか?」
車椅子を押してくれている看護師に聞かれ
「いや、特に。ただ、病院の屋上から眺める景色が昔から好きなんで。」
と答える。
「昔から結構入院とかされたんですか?」
「お陰様でこれまで病気には無縁で来てるんだけど、商売柄、ケガで何度か入院を余儀なくされて。それに・・・。」
ここで翔平は言葉を切った。
「それに?」
「いや、日がな一日、ベッドに横になってなきゃならないと、やたら外が恋しくなるから。」
看護師の問いを、そんな言葉で繕っていると、エレベーターの扉が開いた。屋上に出た翔平は、まぶしさにフッと目を細める。
「秋晴れのいい気候になりましたね。」
看護師がしみじみと言って来る。
「今日みたいに天気がよくて、もう少し寒くなって、空気が澄んで来ると、富士山がここから綺麗に見えるんですよ。」
「そうなんだ、見てみたかったな。」
呟くように答えた翔平に
「じゃ、30分くらいしたら、また迎えに来ますね。」
看護師は告げる。
「お手数掛けて、すみません。」
「とんでもないです、じゃ。」
と行きかけた彼女に
「あっ。」
翔平が呼び止めるように声を掛けた。
「はい。」
「あの、みら・・・いや藤牧さん、今日出勤かな?」
「藤牧?看護師の藤牧未来ですか?」
「うん。」
「ごめんなさい。彼女とは所属が違うんで、全然わからないです。未来とお知り合いなんですか?」
「中学時代のクラスメイトなんだ。」
「あ、そっか。恵先生とクラスメイトでしたもんね。じゃ、未来ともそうだってことですよね。」
「本多から彼女もこの病院にいるって聞いて懐かしくて。もし彼女に会ったら、高城がよろしくって言ってたって伝えておいてよ。」
「わかりました。でもいいなぁ、未来も恵先生も高城選手とクラスメイトだったなんて。じゃ、また後ほど。」
そう言って笑顔を見せると、看護師は足取りも軽く立ち去っていく。その後ろ姿を見送りながら、翔平はひとつため息をついた。