だからもう
君との思い出

屋上


君と出会ったのは、ある日の屋上。

その日は歌の練習がしたくて。
君がいるとは知らずに歌い始めた私を、君は静かに見て
いてくれたね。

まさか人がいるとは思ってなくて。
歌い終わって君が拍手を贈ってくれたとき、すっごくび
っくりしたんだよ?


『歌、上手ですね』


なんて、にこっと笑った君に少しだけきゅんとした。

恥ずかしくて、


『君は、何してたの?』


って話題を変えたら

ちょっと嬉しそうに


『....読書です』


その手には分厚くて、難しそうな本。

眠くなっちゃいそうだなぁ....なんて思ってたら


『面白いですよ』


ってふふっと君は笑って

読んでみてもいいかなぁ、なんて柄にもなく思った。
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