君の音がなくても
◇
紅と別れて、どれだけ日が経っただろう。
紅がいない日常とはどういうものなのかを思い知って、私は苦しみに支配されつつあった。
私は、紅がいなくなるとはどういうことなのかわかっていなくて、なんなら、紅がいることが当たり前だと思っていたらしい。
とんだ勘違い女だ。
永遠なんてないのに、紅のことを当たり前だなんて思って、大切に思っていることを忘れ、伝えてこなかった。
こんなことになるなら、一度でも伝えておけばよかった。
なんて、今さら後悔したって意味がない。
過去には戻れないし、紅とやり直せるわけでもない。
私は自分の過ちを胸に刻み、前を向くことしかできない。
でも、しばらくは動けないだろう。
それだけ、私の中の紅の存在は、大きい。
この心の穴を埋めてくれる存在なんて、この世にはない。
紅の代わりなんて、あってたまるか。
ただ、こうして紅の存在に甘えていたから、私は間違えた。
次は間違えないようにするから。
それまでは、君の存在に縋りたい。
君の音がなくても、自分の足で歩き出せるまでは、君との思い出を大切にしたい。
きっといつか、前に進むから。
それまではどうか。
君を想うことを許して……
紅がいない日常とはどういうものなのかを思い知って、私は苦しみに支配されつつあった。
私は、紅がいなくなるとはどういうことなのかわかっていなくて、なんなら、紅がいることが当たり前だと思っていたらしい。
とんだ勘違い女だ。
永遠なんてないのに、紅のことを当たり前だなんて思って、大切に思っていることを忘れ、伝えてこなかった。
こんなことになるなら、一度でも伝えておけばよかった。
なんて、今さら後悔したって意味がない。
過去には戻れないし、紅とやり直せるわけでもない。
私は自分の過ちを胸に刻み、前を向くことしかできない。
でも、しばらくは動けないだろう。
それだけ、私の中の紅の存在は、大きい。
この心の穴を埋めてくれる存在なんて、この世にはない。
紅の代わりなんて、あってたまるか。
ただ、こうして紅の存在に甘えていたから、私は間違えた。
次は間違えないようにするから。
それまでは、君の存在に縋りたい。
君の音がなくても、自分の足で歩き出せるまでは、君との思い出を大切にしたい。
きっといつか、前に進むから。
それまではどうか。
君を想うことを許して……